2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ感染胃発癌における菌-宿主間クロストークのメタボローム解析
Project/Area Number |
21390228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東 健 神戸大学, 医学研究科, 教授 (60221040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 健一 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教 (90280792)
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Keywords | H.pylori / プロテオミクス解析 / メタボロミクス解析 |
Research Abstract |
ピロリ菌感染は全世界の約50%の人が感染している最も感染者の多い慢性感染症の一つであり、胃癌との関連が認められ、ピロリ菌は1994年に世界保健機構より1群の発癌因子に認定された。しかし、ピロリ菌感染による胃癌発症のオッズ比は、約2~23と国や地域により大きく異なる。ピロリ菌における胃発癌リスクの違いの要因として、菌-宿主細胞間クロストークの多様性が考えられる。本研究は、ピロリ菌感染による胃発癌分子メカニズムを明らかにするために、菌-宿主細胞間のクロストークをメタボロミクスにより網羅的・包括的に解析した。我々は今年度、AGS細胞を用いたin vitroピロリ菌感染による感染前後の細胞を用いた前処理条件・分析機器条件・データ解析手法の最適化をはかった。サンプルが含有する低分子代謝物の多様性・複雑性を考慮し、主な分析機器としてはGCMSを用いて検討した。水/メタノール/クロロホルム混合溶媒を用いて水溶性/脂溶性代謝物を回収し、(Blight&Dyer法)、誘導体化処理を行った後にGCMSによる解析に供した。さらに解析に必要なサンプル量の検討を行った。これらの予備実験の検討がほぼ終了し、現在、ピロリ菌感染検体を用いてGC/MSを用いた比較解析を実施している。現在のところ、in vitroピロリ菌感染による低分子代謝物を解析し、ピロリ菌感染により、解糖系が亢進するにも関わらず、TCAサイクルが十分に機能せず、逆に、乳酸が蓄積することを確認した。これまでの過去の研究により、胃がん患者のがん組織においても同様な代謝経路の破たんが報告されており、これらの結果は、ピロリ菌感染が、宿主における代謝物プロファイルを、がん組織に類似したプロファイルへと変換させる可能性を示唆している。
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Research Products
(4 results)