2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによるタンパク質翻訳後修飾解析を用いた肝癌の治療抵抗性の解明
Project/Area Number |
21390230
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐々木 裕 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (70235282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 令江 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (80253722)
永濱 裕康 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60381000)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Keywords | 肝癌 / 治療抵抗性 / プロテオミクス / 翻訳後修飾 / 遺伝子解 |
Research Abstract |
本研究では、肝癌細胞の有する「治療抵抗性」の分子基盤の一つである"細胞死抵抗性"を担う責任分子群を同定することを目的とする。ここで強調すべき点は、責任分子群の同定には、遺伝子・蛋白質発現に加え、蛋白質機能解析が不可欠であることである。その意味から、機能を制御する翻訳後修飾、とりわけ燐酸化の解析は重要である。 そこでヒト肝癌細胞株に細胞死を誘導するために酸化ストレス刺激を加え、刺激前後でcell lysateを調整して2次元デイファレンシャル電気泳動を施行した。さらに蛋白質発現や燐酸化を解析するために特殊染色を行い、蛋白質スポットから質量分析装置にて燐酸化蛋白質を同定した。複数の細胞株では酸化ストレス刺激に対する感受性が異なっていたが、最も抵抗性を示すHepG2細胞において刺激後に燐酸化スポットが約30個認められた。燐酸化が有意に変動する蛋白質の内訳は、転写因子、細胞骨格や分子シャペロン関連蛋白質であり、2次元電気泳動+ウエスタンブロットにてそれらの変化を確認した。また、刺激前後で遺伝子発現の網羅的解析を行ったところ、刺激後1時間、3時間で1.5倍以上の発現亢進を認めた遺伝子数はそれぞれ約600個、約700個であり、それらには細胞増殖、細胞死、IFN作用を担うシグナル伝達分子が含まれていた。さらにネットワーク解析から、酸化ストレスにより燐酸化が変化することで機能が変化した蛋白質が、細胞死関連遺伝子を誘導することが示された。一方、ヒト肝癌組織とその非癌部組織を対象に同様の解析を行ったところ、癌部で非癌部に比べて燐酸化が増強あるいは減弱する蛋白質が約30種類同定された。肝癌細胞株での結果との対比から、共通した複数個の蛋白質が、肝癌細胞の細胞死抵抗性の候補責任分子として絞り込まれた。現在、siRNAを用いてこれら候補責任分子の機能的重要性を検討している。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Identification of the H2-K^d-restricted CTL epitopes of a tumor-associated antigen, SPARC, which can stimulate antitumor immunity without causing autoimmune disease in mice2009
Author(s)
Ikuta, Y.,* Hayashida, Y.*, Hirata, Irie, A., Senju, S., Nakatsura, T., Monji, M., Sasaki, Y., Baba, H., Nishimura, Y.(*These two authors contributed equally.)
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Journal Title
Cancer Science 100
Pages: 132-137
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effects of oral administered S-1 on the pharmacokinetics of SN-38, irinotecan active metabolite, in patients with advanced colorectal cancer2009
Author(s)
Yokoo, K., Hamada, A., Tazoe, K., Sasaki, Y., Saito, H.
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Journal Title
Ther.Drug.Monit 31
Pages: 400-403
Peer Reviewed
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[Journal Article]2009
Author(s)
紙屋康之, 田中基彦, 佐々木裕
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Journal Title
新しい診断と治療ABC62アルコール性肝障害(最新医学社)
Pages: 141-149
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[Journal Article]2009
Author(s)
佐々木裕
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Journal Title
特集 細胞死をめぐる量近のトピックス 細胞死と免疫監視機構からの回避(Surgery Frontier)
Pages: 60-65
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[Presentation] 内視鏡的粘膜切除術(EMR)にて切除し得た gastric inverted hyperplasic polyp の一例2009
Author(s)
山邊聡, 庄野孝, 桜井宏一, 古田陽輝, 牧曜子, 村尾哲哉, 松本浩一, 横峰和典, 田中秀紀, 猪山賢一, 佐々木裕
Organizer
第78回日本消化器内視鏡学会総会 一般演題(ポスター)
Place of Presentation
京都国際会館(京都市)
Year and Date
2009-10-17
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[Presentation] 胆管空腸吻合部完全閉塞に対するダブルバルーン小腸内視鏡による磁石圧迫吻合術が有効であった1例2009
Author(s)
牧曜子, 庄野孝, 村尾哲哉, 松本浩一, 横峰和典, 田中秀紀, 桜井宏一, 陶山浩一, 馬場秀夫, 山内栄五郎, 佐々木裕
Organizer
第95回日本消化器病学会総会 一般演題
Place of Presentation
北海道厚生年金会館(札幌市)
Year and Date
2009-05-07