2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋リモデリングにおけるミトコンドリア転写因子制御の分子機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
21390236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
石森 直樹 北海道大学, 病院, 助教 (70399848)
松井 裕 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (30431381)
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Keywords | 心筋リモデリング / 心不全 / ミトコンドリア / DNA / 転写因子 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは、生体における細胞機能を維持し生死を調節する重要な細胞内器官であるが、その機能はミトコンドリアDNAおよびその複製・維持を担うPGC-1/TFAMなどミトコンドリア転写因子によって高度に制御されている。本研究の目的は、心筋リモデリング・心不全におけるミトコンドリア転写因子の発現制御の分子機構を明らかにするとともに、PGC-1/TFAMによるmtDNA・ミトコンドリア機能の保持による心筋保護の基盤的分子機序をあきらかにすることである。本年度は、ミトコンドリア転写因子によるmtDNAの制御機構とともにミトコンドリア転写因子過剰発現による細胞保護効果について検討した。 TFAM遺伝子過剰発現マウスおよびミトコンドリアヘリカーゼであるTwinkle遺伝子過剰発現マウスを用いて実験を行った。TFAMはmtDNA合成には影響せずに、タンパクと結合しヌクレオイドを形成してmtDNAを安定化させた。一方、TwinkleはmtDNAの複製を亢進させTFAM同様ヌクレオイドを形成することを明らかにした。 我々は、TFAMが、mtDNAの酸化損傷を抑制し、ミトコンドリア機能を保持することによって心筋細胞保護作用を発揮することをin vitro培養細胞実験系およびin vivo心筋梗塞後心不全モデルで証明していたが、TFAMは心筋細胞ばかりでなく神経細胞に対しても同様の保護作用を発揮することを、遅発性神経細胞死モデルマウスを用いて実証した。 以上より、心筋リモデリングの形成・進展にミトコンドリア転写因子制御およびミトコンドリア酸化ストレスが密接に関与することがあきらかにされた。
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