2011 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症における細胞内分解機構の検討とその治療への応用
Project/Area Number |
21390240
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20294051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90467580)
彦惣 俊吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30423164)
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Keywords | 細胞内分解系 / 心不全 / 心筋細胞死 |
Research Abstract |
蛋白質分解系においては心筋特異的カルパインノックアウトマウスは圧負荷後心不全を来したのでそのカルパインの心筋保護的作用の分子機構を検討した。まず細胞膜におけるカルパインの効果を調べるためカルパインノックアウトマウスに圧負荷後蛍光色素を注射したところ有意な取り込みが認められ膜の障害が示唆された。さらにノックアウト心から心筋細胞を単離しレーザにて細胞膜障害を与えその分子機構を検討した。カルパインノックアウト心では膜修復の障害が観察された。したがってカルパインは圧負荷において傷害される細胞膜を修復することにより心臓保護的に働くことが明らかとなった。またカルパインノックアウトマウス心よりタンパク質を単離し、2次元電気泳動をおこない、対照群と差のあったものを質量分析によって分子を同定した。 本研究でDNaseII心筋特異的ノックアウトマウスにおいて圧負荷後に心不全、心筋炎を来すことを見出した。さらにDNAの起源がミトコンドリアである、TLR9を介して心筋炎を惹起していることを明らかにした。本年度はミトコンドリアDNAによる心筋炎、心不全発症における役割を検討した。野生型マウスに圧負荷を加えるとDNAの蓄積、サイトカインの発現、炎症細胞の浸潤が心不全期において観察された。圧負荷後にTLR9の阻害薬を投与したところ、心不全の発症を抑制した。さらにTLR9ノックアウトマウスに圧負荷を加えても同様に心不全の発症を有意に抑制した。従って圧負荷によりミトコンドリアが傷害されるが、そのミトコンドリアが充分にオートファージでは消化されず、そのDNAがTLR9依存性に炎症反応を惹起していることが明らかとなった。ミトコンドリアDNA-TLR9系は新規の心不全の治療標的になることが示唆される。
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