2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 哲朗 九州大学, 病院, 助教 (30514202)
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Keywords | 酸化ストレス/レドックス / 活性酸素種(ROS) / NADPH oxidase, Nox4 / 心血管病 / 血管内皮細胞 / 脳梗塞 / 一酸化窒素合成酵素 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
血管内皮細胞は代謝の盛んな細胞であり,ミトコンドリアや種々の酵素による活性酸素種産生が多い細胞である.相対的な酸化ストレスの増加は,内皮機能障害発生の重要な成因であり,高血圧・糖尿病・高脂血症など生活習慣病に共通する病態である.ゆえに,血管内皮細胞における活性酸素種の産生・消去機構を正確に理解することは重要な課題である.血管内皮細胞に高発現する活性酸素種産生酵素Nox4が,内皮細胞における酸化ストレスの発生に重要な役割を果たすと考え研究を行っている 本年度は,我々が作製した血管内皮細胞特異的Nox4過剰発現マウス(昨年度報告)の解析を本格的に開始した.正常型Nox4過剰発現マウス(eNox4-Tg)と活性酸素種を産生することができない1アミノ酸置換(P437H)変異体・過剰発現マウス(eNox4-DN-Tg)を用い,レーザー光凝固による中大脳動脈閉塞・脳梗塞モデルにおける表現型変化を検討した.野生型マウスに比し,eNox4-Tgでは脳梗塞サイズが有意に拡大し,逆にeNox4-DN-Tgでは脳梗塞サイズが有意に縮小したこの分子メカニズムを明らかにするために,アデノウイルスを用いたNox4過剰発現による細胞内シグナル伝達の変化についてヒト脳微小血管内皮細胞を用いて検討した.Nox4の過剰発現は用量依存性に,Akt(Ser-473)のリン酸化,Aktの下流に存在し内皮細胞の機能遂行に重要な役割を果たす内皮細胞一酸化窒素合成酵素(eNOS)Ser-1177のリン酸化を有意に抑制した.eNOSノックアウトマウスでは脳梗塞モデルにおいて,梗塞サイズが拡大することが知られており,このシグナル伝達の変化は,eNox4-Tgの脳梗塞における表現型変化をよく説明するものと考えられた.また,高血圧・糖尿病は脳梗塞発生の危険因子であるとともに重要な増悪因子でもあり,これらの危険因子におけるNox4の関与を示唆する所見と考えられた.さらに,Nox4によるAkt・eNOS制御機構について検討を行っている
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Research Products
(5 results)