2009 Fiscal Year Annual Research Report
ANGPTLシグナル制御による心血管病・メタボリックシンドロームの治療戦略
Project/Area Number |
21390245
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90312321)
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Keywords | 慢性炎症 / メタボリックシンドローム / 生体防御 / アンジオポエチン様因子 |
Research Abstract |
生活習慣に依存した様々なストレス刺激に対して生体の恒常性を維持する応答機構、いわゆる生体防御システムとして、非常に低いレベルの慢性炎症の存在が注目されている。また、その過剰な応答が光生活習慣関連疾患の発症や増悪に関わっていることも注目されているが、その分子機構は充分には解明ざれていない。平成21年度の研究成果として我々は、肥満の病態で増加する脂肪組織における低酸素や小胞体ストレスにより脂肪細胞でのAngpt12の発現及び分泌が上昇すること、その結果、脂肪組織での炎症病態が増強・遷延し、全身でのインスリン抵抗性を惹起していることが明らかとした。次にELISA法によるヒトAngpt12測定系を開発した。一般健康診断受診者935人を対象とした検討では、ヒト血中Angpt12濃度はBody Mass Index、腹周囲径、CRP値と正の相関を認めた。健常者に比較し2型糖尿病患者、虚血性心疾患患者では有意に高値を示した。さらに、糖尿病患者においては、内臓脂肪面積、CRP値、インスリン抵抗性指標であるHOMA-Rと正の相関を、グルコースクランプ法で測定したインスリン感受性(M値)と負の相関を認めた。糖尿病治療薬であるピオグリタゾンの投与により有意な低下を認め、その低下率は内臓脂肪面積やCRP値の減少率と有意な相関を認めた。以上より、血中Angpt12濃度が動脈硬化性疾患の基礎疾患としての肥満、メタボリックシンドロームの病態の把握において有用であり、これらの疾患においてAngpt12の制御が治療の標的となりうる可能性を示した。現在は、組織学的検討で、Angpt12が動脈硬化巣や大動脈瘤病変部にも過剰に発現が誘導されていることを見出しており、Angpt12が直接的に動脈硬化性疾患の病態発症・進展に関わっている可能性を継続し検討している。
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Research Products
(15 results)