2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性肺障害・特発性肺線維症急性増悪の遺伝学的研究
Project/Area Number |
21390258
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
萩原 弘一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
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Keywords | gefitinib / 薬剤性肺障害 / 特発性肺線維症 / 急性増悪 / SNP / exome / 遺伝解析 / tyrosine kinase |
Research Abstract |
本研究は,薬剤性肺障害および特発性肺線維症急性増悪に関与する遺伝因子の同定を目的としている. 近年,日本人肺の脆弱性が指摘されている.(1)薬剤性肺障害が他国(西洋や他のアジア人)より高頻度で見られ,高率に致死的な経過をたどること,(2)肺線維症を有する患者で他国より高頻度に急性増悪が起こり,高い致死率を示すと推定されることが典型例である.薬剤性肺障害や特発性肺線維症急性増悪に関与する遺伝因子は多数あると想定されるが,その中でも特に強く関与する遺伝因子を1つ想定すると,民族差を説明しやすい.この考察を支持するものとして,集団の中で良く見られる疾患でも,一人の先祖から生じ集団内に広がった遺伝因子が関与しているという「common disease-common variant-common origin 仮説」がある。本研究では,(1)薬剤性肺障害に関与する遺伝因子が「common disease-common variant-common origin 仮説」に従い日本人に広がった,(2)特発性肺線維症急性増悪に関与する遺伝因子も「common disease-common variant-common origin仮説」に従い日本人に広がった,という作業仮説にて研究を行っている. サンプル採集は,薬剤性肺障害および特発性肺線維症急性増悪が疑われる呼吸器疾患患者より,末梢血リンパ球を採取,DNAを分離するとともに,EBウイルスを感染させてB細胞を不死化し,再度のDNA調整に備えている. 現時点までに薬剤性肺障害,特発性肺線維症急性増悪を含む400例(かなりの部分がまだ臨床データ未収集で最終分類できていない)を超えるサンプルが収集できた.200例以上の症例でSNP6.0解析,60例でexome解析が終了した.Exome解析を行った18例のgefitinib肺障害症例で,症例に集積し,日本人に特異的に見られ,Tyrosine kinase pathwayに存在する2つの遺伝子を同定した.今後この遺伝子の機能解析を行っていく予定である.
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Research Products
(3 results)