2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵α細胞におけるFoxO1とATF3の役割~高血糖との関わりの解明~
Project/Area Number |
21390276
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 忠弘 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (20447262)
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Keywords | 糖尿病学 / 内科学 |
Research Abstract |
2型糖尿病では、食後のインスリン分泌の増加が障害されるとともに、グルカゴン分泌の抑制も障害されている(Muller WA et al.N Engl J Med 1970)。しかしながら、後者のメカニズムに関しては良く分かっていない。申請者はグルカゴン遺伝子の転写を調節する転写因子ATF3とFoxO1に注目し、22年度は主にin vivoの解析を行った。まず、Glucagon-creマウスとATF3 floxマウス、あるいはFox○1 floxマウスを交配し、それぞれα細胞特異的ATF3ノックアウトマウス(aATF3 KO)とα細胞特異的Fox01ノックアウトマウス(aFoxO1 KO)を作製した。aATF3 KOは組織免疫染色の結果、α細胞におけるATF3の発現が有意に減少していたが、空腹時血糖値、随時血糖値に異常は認められず、血中グルカゴン濃度も正常であった。また、糖負荷試験やインスリン耐性試験においてもコントロール群と有意差がなかった。従って、培養細胞を用いたin vitroの系とは異なり、in vivoではATF3はグルカゴン調節を介した糖代謝調節にあまり重要でないと考えられた。次年度はα細胞におけるATF3欠損を他のグルカゴン発現調節因子が代償している可能性について検討する予定である。一方、aFoxO1 KOは空腹時血糖値には変化がなかったが、食後の血糖値が有意に低下していた。血中グルカゴン濃度、糖負荷試験について現在検討中である。また、aFoxO1 KOに高濃度ストレプトゾトシンを投与し、β細胞を完全に破壊した際の糖代謝を調査したが、コントロール群との間に有意な差は認められなかった。現在、α細胞特異的に恒常的活性型のFoxO1を発現するノックインマウスを作成中であり、次年度はこのマウスについての解析を進める予定である。(759字)
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