2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞のインスリン受容体基質が糖代謝・動脈硬化症において果たす役割の解明
Project/Area Number |
21390279
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50396719)
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Keywords | メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
肥満や2型糖尿病患者で認められるインスリン抵抗性状態では、しばしば血管内皮機能障害を認め、その結果動脈硬化が促進すると考えられているが、そのメカニズムについてはいまだ十分に解明されていなかった。我々はこれまでに、インスリン伝達系路の鍵分子であるインスリン受容体基質(IRS)2に着目し、全身のIRS-2が欠損したマウスを作製し、血管内皮機能や動脈硬化について解析してきた。このマウスは、肥満、インスリン抵抗性、高TG血症を認めメタボリックシンドロームを呈し、また血管内皮機能異常を来たし、その結果カフ誘導性の内膜肥厚が増悪した。そこでこれらの現象が血管内皮細胞のIRS2の欠損によるものかどうかを検証するために、血管内皮細胞特異的IRS2欠損(ETIRS2KO)マウスを作製し解析した。このマウスは肥満や高TG血症は認められなかったが、インスリン抵抗性を認め、血管内皮細胞におけるインスリン刺激後のAkt、eNOSのリン酸化が有意に低下し、血管内皮機能障害を呈していた。次に動脈硬化について検討するために、ApoE欠損マウスと交配し、ETIRS2/ApoEダブル欠損マウスを作成し解析したところ、このマウスでは、大動脈弁周囲の粥状硬化が有意に増加していた。また最近、血管内皮機能障害自体が個体のインスリン抵抗性を惹起するという興味深い仮説も出されている。そこでETIRS2KOマウスで認めたインスリン抵抗性の責任臓器を明らかにするために、グルコースクランプを施行したところ、骨格筋においてインスリン依存性の糖取込みが有意に低下していた。ところがこのマウスの単離骨格筋の糖取り込みには障害は認められず、このことからこのマウスでは骨格筋そのものではなく、インスリンの骨格筋へのデリバリーが低下しているのではないかと考えられた。実際、ETIRS2KOではインスリン投与後の毛細血管拡張能(CR)障害に伴い、間質インスリン濃度(IIC)の増加に有意な障害が認められた。そこで次にeNOSのmRNAを上昇させることが知られているPGI2アナログをETIRS2KOに投与したところ、CR改善に伴い骨格筋のIICが回復し、インスリン依存性の骨格筋における糖取り込みが改善した。以上より、血管内皮細胞におけるIRS2は、血管内皮機能調節、動脈硬化、さらに骨格筋のインスリン感受性調節に重要な役割をしていることが明らかとなった。
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[Journal Article] Thiazolidinediones Enhance Sodium-Coupled Bicarbonate Absorption from Renal Proximal Tubules via PPARγ-Dependent Nongenomic Signaling2011
Author(s)
Endo Y, Suzuki M, Yamada H, Horita S, Kunimi M, Yamazaki O, Shirai A, Nakamura M, Iso-O N, Li Y, Hara M, Tsukamoto K, Moriyama N, Kudo A, Kawakami H, Yamauchi T, Kubota N, Kadowaki T, Kume H, Enomoto Y, Homma Y, Seki G, Fujita T.
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Journal Title
Cell Metab.
Volume: 13
Pages: 550-561
Peer Reviewed
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[Journal Article] Adiponectin Enhances Insulin Sensitivity by Increasing Hepatic IRS-2 Expression via a Macrophage-Derived IL-6-Dependent Pathway2011
Author(s)
Awazawa M, Ueki K, Inabe K, Yamauchi T, Kubota N, Kaneko K, Kobayashi M, Iwane A, Sasako T, Okazaki Y, Ohsugi M, Takamoto I, Yamashita S, Asahara H, Akira S, Kasuga M, Kadowaki T.
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Journal Title
Cell Metab.
Volume: 13
Pages: 401-412
Peer Reviewed
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