2009 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子23によるミネラル代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
21390284
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福本 誠二 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (30202287)
|
Keywords | FGF / 低リン血症 / くる病 / 骨軟化症 |
Research Abstract |
線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor : FGF)23は、骨により産生され、腎臓でKloth-FGF受容体複合体に結合することにより、血中リンと1,25-水酸化ビタミンD[1,25(OH)_2D]濃度を低下させるホルモンである。FGF23過剰活性により、低リン血症と低1,25(OH)_2D血症を特徴とする、X染色体優性低リン血症性くる病/骨軟化症(X-linked hypophosphatemic rickets/osteomalacia : XLH)や腫瘍性くる病/骨軟化症が惹起されることが知られていた。我々は、本邦で頻用される含糖酸化鉄の経静脈投与によっても、血中FGF23濃度の上昇を伴う低リン血症性骨軟化症が惹起されることを明らかにすると共に、XLH家系において原因遺伝子として同定されたphosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome (PHEX)のエクソン1~3を含む52kbp以上の欠失を同定した。さらに抗FGF23抗体が、XLHモデルマウスの低リン血症や骨石灰化障害を改善させることを明らかにした。これらの成績は、FGF23作用異常が、従来考えられてきた以上に多様なリン代謝異常症の原因となっていること、FGF23作用を調節する方法がリン代謝異常症の新たな治療法になり得ることを示している。
|