2009 Fiscal Year Annual Research Report
摂食調節ペプチド・グレリンによる自律神経のホメオスターシス制御
Project/Area Number |
21390287
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
児島 将康 Kurume University, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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Keywords | グレリン / ノックアウトマウス / 自律神経 / 血圧 / 体温 / 消化管運動 |
Research Abstract |
自律神経は生体の恒常性(ホメオスターシス)の維持に重要な役割を果たすが、われわれのこれまでの研究でグレリンが自律神経の恒常性維持に必要なホルモンであることを明らかにした。グレリンの欠損マウスの解析から、このマウスでは血圧・心拍数の日内リズムが消失し、また不安定になっていることを見いだした。また消化管の運動機能も低下しており、消化物の腸管内輸送に障害を受けている。 このグレリンの自律神経機能の恒常性維持機構を明らかにするため、本年度はグレリンの体温調節作用について検討した。 マウスにグレリンを投与すると体温が下がる。投与後数分して体温は下がり始め、投与2時間でもとの体温よりも2度以上の低下を認めた。次にグレリンKOマウスを高温環境および低温環境においた時の状態を調べた。われわれが作出したグレリン欠損マウスを使った実験からは、グレリンが欠損すると高温環境下にマウスを置いたときに、体温上昇が野生型に比べて大きく、またその結果、野生型では死亡率が5%くらいであるのに対して、グレリン欠損マウスでは死亡率が30%以上と高率になった。 高温環境下においた野生型マウスの血中および胃内のグレリンを調べてみると、血中グレリン濃度は高温環境下では上昇し、また胃内のグレリンmRNA発現レベルも上昇する。このことから、高温環境下ではグレリンの発現・分泌が増加することがわかった。おそらくは高温状態に反応して、体温を下げるためにグレリン合成・分泌が盛んになると考えられた。逆にグレリンKOマウスを低温環境(4℃)においたときの体温変化を野生型マウスと比較した。低温環境においたグレリンKOマウスの体温変化は野生型マウスのものと優位な差がなかった。
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[Journal Article] Regional distribution and the dynamics of n-decanoyl ghrelin, another acyl-form of ghrelin, upon fasting in rodents2009
Author(s)
Hiejima H, Nishi Y, Hosoda H, Yoh J, Mifune H, Satou M, Sugimoto H, Chiba S, Kawahara Y, Tanaka E, Yoshimatsu H, Uchimura N, Kangawa K, Kojima M.
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Journal Title
Regul Pept. 156
Pages: 47-56
Peer Reviewed
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