2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食調節ペプチド・グレリンによる自律神経のホメオスターシス制御
Project/Area Number |
21390287
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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Keywords | グレリン / ノックアウトマウス / 日内冬眠 / 体温調節 / 褐色脂肪組織 |
Research Abstract |
グレリンは胃から分泌される摂食亢進ホルモンで、これまでのわれわれの研究から自律神経の恒常性維持に必要なホルモンであることが明らかになった。グレリンの欠損マウスでは血圧・心拍数の日内リズムが消失し、またベースの値が不安定になっている。また消化管の運動機能も低下しており、消化物の腸管内輸送に障害を受けている。さらに体温調節機構にも異常が見られ、体温の日内リズムの消失やベース値の不安定さ、そして高温環境下での死亡率の高さなどが認められる。 本年度は、摂食と体温調節に関わるグレリンの重要な働きを見出した。 マウスは絶食状態に24時間以上置くと、体温が大きく低下し活動が抑制される。この状態はトーパー(Torpor)と呼ばれ、日内冬眠と訳されるように、小動物に見られる冬眠様の現象である。ところがグレリン欠損マウスにおいては、このトーパーが認められない。グレリン欠損マウスを絶食状態に置いても、体温の著しい低下は見られず、活動量も通常と変わりはない。摂食を再開すると、グレリン欠損マウスも野生型マウスも、すみやかに元の体温状態に戻る。 このようにグレリンは、食物が得られない絶食状態において、おそらくは体温を低下させ、代謝状態を抑制することで、エネルギー消費を抑え、生存をはかるために必要なホルモンなのだろうと考えられる。このトーパーのメカニズムは不明だが、次年度にはグレリン欠損マウスと野生型マウスとの比較によって明らかにしていきたいと考えている。 その他に、グレリンが褐色脂肪組織に作用して、熱産生に関与する蛋白質、転写因子、転写調節因子の発現を抑制することによって、体温低下につながることを見出した。
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[Journal Article] Dynamics of placental ghrelin production and its receptor expression in a Dahl salt-sensitive rat model of intrauterine growth restriction.2010
Author(s)
A.Nonoshita, Y.Nishi, S.Takushima, M.Oshima, H.Hosoda, K.Kangawa, Kojima M, H.Mifune, E.Tanaka, D.Hori, T.Kamura.
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Journal Title
Placenta
Volume: 31
Pages: 358-364
Peer Reviewed
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