2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化・寿命制御シグナルによる白血病幹細胞の発生・維持・分化
Project/Area Number |
21390290
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平尾 敦 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (90343350)
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Keywords | 造血幹細胞 / 白血病 / Ras |
Research Abstract |
本研究では、細胞老化・寿命性制御シグナルの知見をもとに、正常幹細胞と白血病幹細胞の共通性と相違点を明らかにし、白血病幹細胞の実体を解明することを目指し研究を遂行した。本年度は、細胞老化シグナルとして知られるRasの活性化の造血幹細胞制御および白血病発生における影響をタモキシフェン誘導的活性型K-ras発現モデル(LSL-K-ras^<G12D> ; Rosa26-CreER^<T2>)で解析した。タモキシフェン投与による全組織Kras活性化により、骨髄増殖性腫瘍(Myeloproliferative neoplasm : MPN)が発症することを確認した。また、骨髄系細胞・リンパ系細胞の両者でmTOR複合体1(mTORC1)の標的分子のひとつS6のリン酸化(活性化)の亢進が観察された。これらの遺伝子改変マウスから、造血幹細胞や様々な前駆細胞集団を採取し、試験管内でタモキシフェンを作用させた後、移植したところ、幹細胞集団のみが、MPNを発生することができ、この病態の発生起源は造血幹細胞であることが判明した。これらのMPNの発生にmTORシグナルの活性が重要かどうかを検討するため、K-ras活性化後、ラパマイシンを投与した。その結果、mTOR活性化(S6リン酸化)の抑制は確認できたものの、MPNの症状に改善は認められなかった。本研究からは、mTOR活性化そのものは、骨髄増殖性疾患の直接の原因ではないことが示唆された。
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Research Products
(8 results)