2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体の恒常性維持に重要なプロテインC凝固制御系因子の分子細胞医学的研究
Project/Area Number |
21390292
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70077808)
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Keywords | プロテインC / プロテインS / トロンボモジュリン / C4b結合蛋白質 / 血管内皮細胞 / 細胞間ギャップ結合 / コネキシン32 / 血栓症 |
Research Abstract |
本年度は本課題研究の最終年度となるため、これまでの研究成果をまとめるための研究を行った。具体的には、血液流動性の恒常性に関わるプロテインC凝固制御系因子のうち、プロテインS(PS)とPS活性を制御するC4b結合蛋白質β(C4BPβ)の感染時における肝細胞での発現変化、プロテインCインヒビター(PCI)の病態生理機能の解析、ならびに血管内皮細胞の機能調節に関わる細胞間ギャップ結合(GJ)構成分子Connexin32(Cx32)の機能に及ぼす活性化プロテインC(APC)とトロンボモジュリン(TM)の影響を解析した。 1. 感染時の肝細胞でのPSとC4BPβの発現動態の解析:感染時に血中に増加するリポ多糖は肝細胞におけるPSの産生を抑制し、C4BPβの発現を促進した。また、リポ多糖刺激で産生されるIL-6が肝細胞でのPSとC4Bβの発現量を増加させた。以上の結果から、感染時には血中のPS-C4BPβ複合体濃度が増加してPS活性が低下し、血液凝固亢進状態を誘引することが示唆された。 2. PCIの病態生理機能の解析:ヒトPCI遺伝子導入マウスを用いて、PCIが血管透過性を抑制することを認め、この作用機序としてPCIが血漿カリクレインを阻害するためであることを解明した。 3. Cx32の発現と血管内皮細胞の機能に及ぼすAPCとTMの影響の解析:APCとTMが有する細胞保護作用を解明するため、内皮細胞機能を調節するGJ蛋白質のCx32の発現に及ぼすAPCとTMの影響を解析した。その結果、APCとTMは内皮細胞におけるCx32のmRNAと蛋白の発現量には影響を与えなかったが、蛍光低分子物質の細胞間移動を指標にしたGJの機能を有意に亢進した。この結果は、APCやTMはCx32以外の分子によるGJを介する細胞間相互作用が関与することを示唆している。
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