2009 Fiscal Year Annual Research Report
膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症の病態における骨髄由来細胞の役割の解明
Project/Area Number |
21390300
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桑名 正隆 Keio University, 医学部, 准教授 (50245479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬田 範行 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40338372)
佐藤 隆司 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90407114)
古屋 善章 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30424154)
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / 膠原病 / 強皮症 / 血管内皮前駆細胞 / 単球 / 血管新生 / 血管リモデリング / 線維化 |
Research Abstract |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、膠原病、特に強皮症において生命予後を悪化させる重篤な臓器病変のひとつである。病態の基本は肺動脈の内腔狭窄病変であり、血管平滑筋および内皮細胞の増殖と線維化からなるリモデリングによって形成される。その機序を追究するため、血管内皮のみならず平滑筋や線維芽細胞など間葉系細胞への分化能を有するとともに、各種成長因子や血管新生因子を分泌することで組織リモデリングを促進する単球系血管内皮細胞(EPC)の量的、質的評価を行った。 強皮症患者23例(うちPAH7例)を対象とし、性、年齢や動脈硬化の危険因子を一致させた関節リウマチ(RA)患者22例、健常人21例をコントロールとした。単球系EPCは強皮症患者でRAや健常人比べて有意に増加し、その傾向はPAHを有する例で顕著であった。単球系EPCをヒト臍帯静脈内皮細胞とともにマトリゲル中で培養すると、強皮症由来細胞はコントロールに比べて有意に管腔構造形成を促し、angiogenesis誘導活性が上昇していた。さらに、ヒト単球系EPCをマウス大腸癌細胞と共に免疫不全マウスの皮下に移植すると、強皮症由来細胞の移植で形成された腫瘍は健常人由来細胞の移植に比べてサイズが大きく、新生腫瘍血管数も多かった。ただし、強皮症患者由来の単球系EPC自身が血管内皮細胞に分化する能力はきわめて低く、むしろコラーゲン産生細胞(線維芽細胞)への分化傾向を示した。以上の強皮症患者にみられた単球系EPCのangiogenesis促進作用、血管内皮分化能低下、線維芽細胞への分化傾向はいずれもPAH症例で高かった。したがって、単球系EPCの機能異常が強皮症病態、特にPAHなど血管病変形成に関与することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)