2011 Fiscal Year Annual Research Report
PDD・ARMSの有病率に関する大規模調査と長期追跡による生物学的マーカーの探索
Project/Area Number |
21390331
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70515759)
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Keywords | 広汎性発達障害(PDD) / At risk mental states (ARMS) / 疫学研究 / 分子遺伝学研究 / 脳画像研究 / 近赤外線分光装置(NIRS) |
Research Abstract |
広汎性発達障害(PDD)の有病率を明らかにするために、これまでに新潟県阿賀野市において平成21年~23年入学予定児童に対しPDDの有病率調査を行ってきた。さらに調査規模を拡大すべく今年度は平成24年に新潟県新潟市の小学校に入学予定児童952名を対象として、自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)胎生期・周産期異常、遺伝負因、生活環境因子などの情報アンケートにて収集し、同意の得られた919名(回収率96.5%)から回答を得た。解析結果、ASQ総得点15点以上のPDD疑い群は11名(1.2%)であった。さらに出生時仮死と児のASQ高得点および児がPDD疑いであることとの間に有意な関連を認めた(それぞれ、P=0.02;P=0.04、オッズ比12.0)。本調査の結果から、新潟県新潟市におけるPDDの有病率が明らかとなるとともに、出生時仮死がPDD発症に関与している可能性が示唆された。 また、上記調査で明らかとなったPDD児を対象とし、近赤外線分光装置による脳機能、1.5テスラMRI装置を用いた脳体積および対象者のDNAを包括的に解析し、以下の成果を得た。 PDDの手の模倣課題中の近赤外線スペクトロスコピー所見において、正常群で前頭前野皮質活性に左優位性を認め、PDD群ではこの優位性が減少していたことをPsychiatry Res. : Neuroimaging誌に報告した。また、PDD男性において非右利きのほうが右利きに比べ、有意に両側および右視床の体積が減少していたことをPsychiatry Clin Neurosci.誌に報告した。さらに、トリプトファン水酸化酵素遺伝子2がPDDの疾患感受性遺伝子である可能性およびセロトニン受容体1A遺伝子多型がPDDの細分化された臨床的特徴に関連があることを明らかにし、それぞれをPsychiatry Res.誌に報告した。PDDとマイクロRNA137との関連を調べたが有意な関連を示す遺伝子多型は同定できなかった。 At Risk Mental State (ARMS)に関しては、就学時健診で確認することが困難であり、研究期間の間にARMS症状を呈した児童も存在しなかった。今後も追跡調査を行い、児童の精神病性症状についてフォローアップしていく。
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Research Products
(8 results)