2011 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒リズム障害の迅速かつ高精度な病態診断システムの開発
Project/Area Number |
21390335
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
三島 和夫 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神生理研究部, 部長 (40239223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥田 昌子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神生理研究部, 室長 (20333354)
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Research Abstract |
本研究では、(1)ヒト末梢細胞において時計遺伝子転写発現リズムを測定することで、生物時計機能を精密評価するシステムを構築する。(2)健常被験者を対象とした室内実験により、末梢時計評価システムと従来法の両者で同時評価した結果を比較検証し、本システムの再現性と信頼度を確認する。(3)概日リズム障害を有する患者を対象として本システムの実用試験を行い、個人の生物時計障害を遺伝子レベルで迅速かつ簡便に診断、その病態生理を解明し、患者にオーダーメード医療を提供することを目的とする。 健常男性被験者17名およびフリーラン型患者6名に対して、外界環境情報から隔離された実験室においてForced Desynchrony(FD)プロトコルを実施した。FD前後にconstant routine(CR)条件下で血漿メラトニン・コルチゾル分泌リズムを測定し、生理機能リズム周期を決定した。さらに、各被験者の皮膚生検から初代線維芽培養細胞を樹立し、生物時計リポーター遺伝子Bmal1::Lucを導入して末梢細胞における時計遺伝子発現リズム周期(末梢リズム周期)を決定した。その結果、中間型9名において生理機能リズムと末梢時計リズム周期は非常によく相関性を示すことが明らかとなり、末梢細胞における時計遺伝子発現リズム測定は、個人の生物時計in vitro評価法として有用であることが示された。夜型8名では生理機能リズムと末梢リズム周期に乖離が見られ、内的脱同調を呈するハイリスク群である可能性が示唆された。また、フリーラン型6名では中間型に対しては長い生理機能・末梢リズム周期が認められたが、夜型の周期と違いは認められなったことから、周期の延長以外の機能障害もフリーラン型の病態発症に寄与していると考えられる。
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Research Products
(8 results)