2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞におけるrtPA治療最適化のための3TMRIによるバイオマーカーの検討
Project/Area Number |
21390346
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 雅史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20228654)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 龍兒 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00214304)
永廣 信治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
|
Keywords | 脳梗塞 / 脳灌流 / 拡散強調像 / ASL法 / 一過性脳虚血発作 / 危険因子 |
Research Abstract |
脳梗塞急性期におけるrt-PA治療のパラメーターとして重要と考えられる非造影脳血流MRI(ASL法)について、同一患者に対する脳血流SPECTと比較し、その相関性の検討を行った。ASLの定量値では、病変部位での相関が平均r=0.43、対側ではr=0.57であり、中等度の相関は認められるものの、病変では相関が低くなる傾向が認められた。左右比でみると相関はr=0.75と良い相関を示したが、ASL法では病変の血流がSPECTよりも低い傾向がみられ、虚血程度がより強調されていた。これは、ASLの特徴として、流速が遅い血流や行路長が長い血流は、信号に寄与する割合が低いためと考えられ、信号のラベリングから画像取得のための待ち時間が短いために起こる現象で、原理的な原因によると推察された。3D-SRTを用いてASL画像とSPECT画像の正規化を行い、各関心領域での定量値の比較を行った。前頭葉・頭頂葉・後頭葉・脳梁・レンズ核等では有意差を認めなかったが、視床や海馬ではASL法による定重値が高値となり(p<0.01)、白質ではASL法による定量値が低値(p<0.01)となった。これらも脳血流の組織灌流までの到達時間等による影響が考えられた。以上より、脳血流SPECTとの比較から、ASL法では大脳皮質や基底核の血流低下を過大評価する可能性はあるが、虚血範囲の有無の診断には有用で、虚血を過大評価された部分では、到達時間が遅延した領域として脳灌流の予備能が低下した部分と推察された。一方で、白質の虚血評価はASL法では正確に行いがたい可能性が考えられる。 脳梗塞の診断において一過性脳虚血発作(TIA)の所見について検討を行った。初回DWIで異常なく24時間後のDW工で異常信号を認める場合には、血管障害の危険因子のスコアが高い。TIA症例では遅れてDWIの異常が認められる症例では血管障害のhigh risk症例と考えられた。 今回の検討により、ASL法を用いた脳潅流評価により脳灌流予備能の評価が行え、TIA症例でも遅れてDWIでの異常信号が認められる場合には血管障害の危険性が高く、慎重な経過観察が必要と考えられた。
|
Research Products
(3 results)