2009 Fiscal Year Annual Research Report
独自のプロテオーム解析を用いた癌組織由来の微量血中腫瘍マーカーの同定と定量評価
Project/Area Number |
21390354
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
朝長 毅 National Institute of Biomedical Innovation, 創薬基盤研究部プロテオームリサーチプロジェクト, プロジェクトリーダー (80227644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 久裕 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20282486)
野村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
西村 基 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (80400969)
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Keywords | プロテオーム / ペプチド / 癌 / 腫瘍マーカー / 診断 |
Research Abstract |
近年、プロテオーム解析を用いた血中の癌の早期診断マーカー探索が数多くなされているがいまだに臨床応用に至った例はない。その主な原因として、血液や尿中に存在する真に有用な腫瘍マーカーが非常に微量で、それらを検出することが困難であるからだと思われる。そこで我々は、血中のタンパク質を探索する代わりに、癌組織に特異的に発現するタンパク質で血中に分泌あるいは漏出する微量な腫瘍マーカー候補タンパク質・ペプチドを発見することにした。昨年度我々は、血中のabundantなタンパク質を除去して、微量なタンパク質やペプチドを効率よく検出する方法を開発した(J Proteome Res 2010 in press)。その手法を癌組織のプロテオーム解析と組み合わせることにより、癌組織由来の微量なタンパク質・ペプチドを検出することが本研究の目的である。 平成21年度は最新のプロテオーム解析技術を駆使して、種々の癌組織、特に大腸癌と乳癌組織中で癌特異的に発現増大するリン酸化タンパク質、膜タンパク質の探索を行った。その結果、癌の診断マーカーとなりうるいくつかのタンパク質・ペプチドを同定した。さらに、それらのマーカー候補タンパク質を血液中で検出するために質量分析計を用いたペプチド定量法(MRM法)の開発を行った。まず試験的に合成ペプチドを作製し、その検出限界量を調べたところ、50amolという超微量なペプチドの定量も可能であった。今後は上記の組織プロテオーム解析で同定されたマーカー候補タンパク質をMRM法で血液中の検出・定量が可能かどうか検討する。それが可能になれば、種々の癌の早期発見が可能になると思われる。
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