2009 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲癌種に対する分子標的治療開発のためのGli1分子の機能解析
Project/Area Number |
21390363
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片野 光男 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30372741)
久保 真 九州大学, 大学病院, 助教 (60403961)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 講師 (30315080)
大西 秀哉 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30553276)
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Keywords | Gli1 / 分子標的治療 / 包括的癌治療 / Hedgehogシグナル / 前癌病変 / 予防治療 / 浸潤 |
Research Abstract |
本年度の研究計画と成果は以下の通りである。 1. 正常組織および癌組織におけるGli1発現プロファイル作成: 手術時摘出組織を用いて、免疫染色およびRT-PCRにより正常部のGli1発現を解析した。その結果、皮膚、乳腺、神経系におけるGli1発現はほとんど認められないが、胃癌組織に浸潤した単球におけるShhおよびGli1発現が確認された。すなわち、癌組織間質におけるHedgehog (Hh)シグナル活性化が確認され、機序の一つとして炎症刺激によるNF-kB活性化の関与が明らかになった(Yamasaki, Katano et al. Clin Immunol Immunother 59:675, 2010)。さらに、癌細胞においては、Smo発現のないGli1発現の症例が存在し、Gli1がHhシグナル非依存性に誘導される癌の存在が確認された(Hhシグナル系を越えた広範囲癌腫におけるGli1発現の可能性)。 2. 前癌病変におけるGli1発現プロファイル作成: 膵癌の前癌病変であるIPMN、非浸潤性乳管癌(DCIS)でのGli1発現の増強、および大腸ポリープの異形性の強い細胞でのGli1発現の低下が確認された。本年度は、DCISに焦点を当て検討した結果、DCISにおいてもShh発現のないGli1発現症例の存在が確認され、さらにDCISから浸潤性乳管癌(IDC)への進展へのGli1関与を示唆するデータを得た(論文作成中)。 3. 腫瘍幹細胞におけるGli1発現の確認: 乳癌症例20例において、CD44+/24-/low(乳癌幹細胞を含む)が0.1-5%存在することを蛍光免疫組織染色にて確認。現在、Gli1の発現確認解析が進行中である(Tanaka, Katano et al. Anticancer Res 29:2147-2157, 2009)。 4. Gli1の癌細胞の生物学的特性に及ぼす作用の解析: Gli1が胃癌細胞、乳癌細胞、膵癌細胞の浸潤能亢進に関与し、浸潤抑制の標的となることを確認した(Kameda, Katano et al. Br J Cancer 103:738-747, 2010 ; Kameda, Katano et al. Anticancer Res 29:871-879, 2009)。
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Research Products
(5 results)