2010 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲癌種に対する分子標的治療開発のためのGli1分子の機能解析
Project/Area Number |
21390363
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅史 九州大学, 大学病院, 講師 (30372741)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 講師 (30315080)
大西 秀哉 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30553276)
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Keywords | Gli1 / 分子標的治療 / 包括的癌治療 / Hedgehogシグナル / 乳癌進展 / リンパ節転移 / 低酸素 / Smo |
Research Abstract |
本年度の研究計画と成果は以下の通りである。本年度は、治療法への展開を目的とした研究に焦点を合わせた。 1.非浸潤性乳癌(DCIS)から浸潤性乳癌(IDC)への進展に及ぼすGli1の生物学的意義。 DCISの約30%で既にGli1発現が認められ、微小浸潤癌さらにIDCへと進展するに従い、Gli1発現強度は連続的に増加すること、およびGli1発現抑制の程度と浸潤能が逆相関を示す事からくGli1発現がDCISからIDCへの進展に関与しており、Gli1が乳癌進展防止の治療標的となる可能性が示された。さらに、DCISからIDCへの進展に、Estrogen receptorを介したGli1発現誘導の機序が補助的に作用していることも明らかとなった。 2.乳癌転移リンパ節におけるGli1発現。 微小リンパ節転移を有するセンチネルリンパ節は高頻度にGli1を発現しており、Gli1核内移行率によるHedgehogシグナル活性化程度は、IDC原発巣と同程度であり、乳癌のリンパ節転移巣に対する治療標的の可能性が確認された。 3.低酸素環境におけるGli1発現誘導の新たな機序。 多くの固形癌組織は低酸素状態にあることが指摘されており、このことが癌細胞の悪性化に関与していると予想されている。低酸素状態は、Hedgehogシグナルの起動蛋白であるSmoの発現を誘導しリガンド非依存性にGli1発現を誘導するという新たな経路を見いだした。このことは、Gli1が実際の臨床癌における治療標的となりうることを支持している。事実、低酸素環境が誘導する浸潤能亢進は、Smo発現抑制あるいはGli1発現抑制により抑制された。 これら成果の一部は、論文にて発表した。
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Research Products
(3 results)