2011 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化蛋白をターゲットとした膵・胆道癌の早期診断および個別化治療への展開
Project/Area Number |
21390372
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70334208)
清水 宏明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80272318)
加藤 厚 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70344984)
吉留 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10312935)
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Keywords | Proteomics / 膵癌 / 胆道癌 / 腫瘍マーカー / リン酸化蛋白 / シグナル伝達物質 / 自己抗体複合体 |
Research Abstract |
膵・胆道癌は早期発見と外科治療、分子標的治療薬を含む化学療法などでの集学的治療が、治療成績向上を図る上で重要である。そこで、プロテオミクスの技術を用い、血清中の新規マーカーの検出を試みた。昨年度までは、血清中リン酸化シグナル伝達物質の濃度が膵癌の早期発見マーカーとして有用である可能性を示した。今年度は、膵癌細胞に発現する特異的蛋白質と、このような蛋白質に対する抗体の複合体が血中に存在する可能性について検討した。まず、膵癌切除症例3例からの切除標本から、膵癌組織と正常膵組織部分を切り出し、蛋白を抽出、これを2次元電気泳動法にて展開し、網羅的に膵癌組織での発現が亢進している蛋白質を検出した。そのうち、分子量20kDaのスポットが3症例すべてで膵癌組織での発現亢進を認めたため、この部分をゲルより切り出し、ゲル内蛋白質消化と質量分析計を用いて、蛋白質の同定を行った。すると、このスポットはCofilinという蛋白質であることが判明した。前述の3例を含む8症例の膵癌切除標本を用い、Cofilinの発現レベルを膵癌組織、正常膵組織で比較したところ、すべての症例で膵癌組織での発現の亢進を認めた。また、免疫染色により膵癌組織におけるCofilinの発現を検討したところ、癌細胞に発現をしており、その発現レベルは症例により差があることを見いだした。そこで、Cofilinに対する抗体を1次抗体としてプレートに固定し、検出抗体としてヒトIgGに対する抗体を用いて、Cofilin+抗体の複合体濃度をELISA法で測定した。すると、相対的な発現量では膵癌患者において、年齢を適合させた健常人のグループに比較してその発現が亢進していた。膵癌患者をその抗体複合体の発現量により、その中央値で2群に分けてKaplan-Meier法、およびLogrankテストで全生存期間を検討すると、発現量が少ない群が、多い群に比較して優位に予後良好であった。現在、これらの因子がマーカーとして有用かどうかを、症例を蓄積し検討しているところである。
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