2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する血管新生抑制療法の展開:新規治療法と抵抗性の克服
Project/Area Number |
21390403
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 晋吾 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50292553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大根田 修 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30311872)
依馬 正次 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60359578)
伊東 史子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70502582)
石川 栄一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30510169)
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Keywords | 神経膠腫 / 血管新生 / 腫瘍内皮細胞 / ケモカイン / SDF-1 / CXCR7 / bevacizumab / low molecular weight heparin |
Research Abstract |
I.膠芽腫血管内皮細胞に特異的な遺伝子の同定:ヒト膠芽腫組織より分離培養した膠芽腫内皮細胞と正常血管内皮細胞の遺伝子の違いをマイクロアレイで調べ、膠芽腫内皮細胞に特に高発現する遺伝子として(1)jagged1,(2)PLXDC1を、胎生期に見られるVEGFRノックアウトマウスとワイルドタイプマウスでの遺伝子の違いをマイクロアレイで調べてノックアウトマウスで特に高発現する遺伝子として(3)PLVAP,(4)GPCR GPR116を同定した。これら(1)~(4)に対する抗体により膠芽腫組織の腫瘍血管が特異的に染色されたことよりこれらは膠芽腫の特異的な血管新生因子と考えられた。来年度はこれらの分子の機能解析を行う。 II.血管新生抑制療法の抵抗性の克服:VEGF中和抗体(bevacizumab)の治療によるグリオーマの再発モデルを作成した。SCIDマウスの脳内にヒトグリオーマ細胞を移植し、bevacizumabの投与を8週間連続すると脳内腫瘍はMMP9,SDF1の発現上昇とともに周囲への浸潤性を増すことを報告した(Brain Tumor Pathol 2010)。 ヒト再発膠芽腫7例に対してBevaciuzmabの治療効果および再発様式をMRI画像による腫瘍の大きさだけでなく、腫瘍血流量をあらわすrCBVと腫瘍密度を表すADC値で明らかにし、脳神経外科学会総会シンポジウムで報告した。 抵抗性の標的としてCXCR7に注目し、CXCR7特異的抑制物質、CCX771(Chemocentrix社)の効果をin vitro、in vivoグリオーマモデルで明らかにした。また、CXCR7のリガンドであるSDF-1の抑制作用のあるlow molecular weight heparin(LMWH)の効果をin vitro、in vivoグリオーマモデルで明らかにした。 来年度はCXCR7をはじめ腫瘍血管内皮幹細胞を標的とした治療戦略を実験モデルで提唱すると同時に、bevacizumabによる治療抵抗性を克服するためのLMWHの臨床試験の提案を行なう。
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Research Products
(29 results)