2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路過剰同期性に注目した新規てんかん焦点診断及び治療の開発へ向けた総合的研究
Project/Area Number |
21390405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 謙介 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70260924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 恭輔 旭川医科大学, 医学部附属病院, 教授 (80372374)
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Keywords | てんかん / 大脳皮質 / 皮質脳波 / 軟膜下皮質多切術 / 迷走神経刺激療法 |
Research Abstract |
本研究は、治療困難な難治性てんかんに対する新たな治療法の開発を目的として、「大脳皮質における過剰同期性の特性解析とその抑制」をキーワードに、動物実験研究と臨床てんかん研究の両側面を総合的に進めるものである。平成21年度の実績は以下の通りである。 1.多点皮質脳波・単一ニューロン発射の同時記録用の電極開発を進めた。途中、電極の耐用性に問題があることが判明し、臨床使用に至らなかったが、現在改良電極を作成しつつある。 2.ラット迷走神経刺激モデルの確立を進めた。外部刺激では接続リードの長期安定性に問題があることが判明したが、植込型の刺激装置を入手し、すでにモデルが確立できた。2010年4月上旬現在、カイニン酸モデルおよび脳虚血後てんかんモデルにおける長期刺激を開始したところである。 3.迷走神経刺激療法臨床例における迷走神経誘発電位の測定を10例で行った。1例ではこれまで報告されていない刺激後2ミリ秒という非常に短潜時の誘発電位検出に成功した。これは理論的に脳幹レベルにおける誘発電位を見ている可能性が高い。しかし、その他の例では、刺激後数ミリ秒の範囲は刺激のアーチファクトの影響が強く、短潜時の誘発電位検出には成功していない。今後、このアーチファクト除去を進めてゆく。 4.臨床てんかん症例における軟膜下皮質多切術と海馬多切術の長期的な発作抑制効果や機能温存効果を検証した。術後発作転帰はほぼ切除手術に匹敵するものだが、まれに長期経過中に悪化する例があり、さらなる長期追跡が必要と考えられた。また、切除術に比した機能温存効果が確認されたが、糖代謝とは解離があり、この回復機構についてさらに検討が必要である。
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Research Products
(5 results)