2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療標的分子探索を目指したNFκBシグナルによる軟骨・骨の包括的制御機構の解明
Project/Area Number |
21390415
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 英也 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (30436464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10361495)
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30345219)
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Keywords | 骨軟骨代謝学 / 再生医学 / 発生・分化 / NFκB |
Research Abstract |
軟骨細胞における発現解析ではNFκBシグナルを担う転写因子の全てが比較的豊富に発現していることが判明したが、特にその主要分子RELAの発現量が最も多かった。RELAのmRNAレベルの発現は初期から後期まで大きな変化はなく、RELAの主要な制御はタンパクレベルで行われていることが示唆された。RELAノックアウトマウスの成長を解析したところ、RELAホモノックアウトマウスは胎性致死ではあったが肢芽発生時から著明に発達障害がみられた。組織学的には軟骨細胞の密度も低く、増殖も極端に障害され、さらに肥大分化から骨組織への置換においても明らかな遅延がみられた。これに加えて培養軟骨細胞でもsiRNAのウイルスベクターを用いて検討を行ったところ、RELAの欠損あるいは抑制により、2型コラーゲンやSOX9、SOX6などの初期分化マーカーのみならず、10型コラーゲンなどの後期分化マーカーの発現も減弱した。さらに各マーカー遺伝子のプロモーター・レポーターベクターを用いてスクリーニングを行ったところ、RELAは10型コラーゲン、MMPなどの軟骨基質分解酵素を強く誘導して変形性関節症に促進的に作用する転写因子HIF2Aを強力に誘導することが明らかとなり、プロモーター解析によってその応答部位も同定することに成功した。さらに、マウス変形性関節症モデルにおいては、軟骨変性の初期・中期にHIF2Aの発現が増強するが、核内のRELAのシグナルもほぼ同調して増強しており、NFκBシグナルがHIF2Aの上流シグナルとして作用していることが示唆された。
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