2009 Fiscal Year Annual Research Report
PTH受容体とβカテニンの相互作用による骨形成促進機構に関する戦略的研究
Project/Area Number |
21390416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 直史 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任准教授 (10361495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 文子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80529040)
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30345219)
三浦 俊樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20376479)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40282660)
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Keywords | 細胞・組織 / 骨・軟骨代謝 / 副甲状腺ホルモン / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
酵母wo-hybrid assayを用いてPPRのC末側細胞内ドメインに結合する蛋白質を網羅的に探索したところ、新たな結合蛋白としてβカテニンを同定した。HEK293細胞にGFP標識したPTH受容体を強制発現させると、PTH受容体と内在性βカテニンが細胞内での共局在し、直接結合することを確認した(免疫沈降、Westernblot)。このPTH受容体とβカテニンとの結合はPTH刺激によって減弱した。PTH受容体の段階的deletion、mutagenesisによって、C末側582-585の4アミノ酸がβカテニンの結合に必須であることが示された。また、βカテニンと複合体を形成する接着蛋白であるカドヘリンもPTH受容体の同部位に結合し、PTH刺激によりその結合が減弱した。PTH刺激後の細胞内cAMP活性は、恒常活性型βカテニンの過剰発現で抑制され、βカテニンsiRNAおよび結合部位欠損PTH受容体(Δ582-585)変異体の強制発現によって著明に促進された。一方、PTH刺激後の細胞内Ca^<2+>濃度は、βカテニンsiRNAおよびPTH受容体(Δ582-585)変異体の強制発現によって消失した。マウス成長板の免疫染色によって、PTH受容体とβカテニンは前肥大軟骨細胞層に共局在していた。マウス軟骨前駆細胞ATDC5倍養系にPTH(1-34)を投与すると、軟骨肥大分化マーカーであるCOL10の転写活性(luciferase assay)も発現レベル(retal-time RT-PCR)も抑制されたが、これらはいずれも恒常活性型βカテニンの過剰発現で回復した。この回復効果はPTH受容体(Δ582-585)変異体導入ATDC細胞においては見られなかった。 以上より軟骨細胞におけるPTH/PTHrPシグナルとして、βカテニンがPTH受容体細胞内ドメインに直接結合し、その下流のGαs/cAMPを抑制しGαq/Ca^<2+>を促進して、肥大分化を調節している可能性が示された。
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