2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋組織の異所性骨化に基づく運動器の形成と再生機構の解明
Project/Area Number |
21390423
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 聡 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00547979)
笹沼 寛樹 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (30571707)
米山 克美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20571574)
進 正史 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (70549261)
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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Keywords | 再生 / 蛋白質 / 筋芽細胞 / 細胞・組織 / 骨形成 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本研究では、全身の骨格筋組織内で異所性骨化が進行する遺伝性疾患として知られる進行性骨化性線維異形成症(FOP)を疾患モデルとし、筋組織の発生・再生機序や、骨・軟骨組織の形成機序の解明を目的とする。すでに我々は、主たるFOPの発症機序として、骨形成促進活性を有するBone Morphogenetic Protein(BMP)受容体であるALK2が遺伝子変異によりアミノ酸置換されることで、構成的に活性化されることを示した。 そこで、ALK2より下流の細胞内シグナル伝達因子として、転写因子Smadの機能とその制御機構に着目した。ALK2を含む活性化されたBMP受容体は、Smad1/5/8のC末端に位置するSer-Val-Ser(SVS)モチーフの2つのSer残基をリン酸化する。これらを酸性アミノ酸であるアスパラギン酸に置換すると、BMP受容体非依存的に活性化されることが判明した。このSmad1/5はBMP作用の中で特に骨芽細胞分化に重要であり、筋分化の抑制作用は、Smad1/5と複合体を形成するSmad4が重要であった。Smad4は、BMPシグナル依存的に核内でE4F1と呼ばれる転写調節因子と複合体を形成し、筋分化を抑制するId1などの転写因子を誘導すると考えられた。 また、活性化されたSmad1/5を脱リン酸化してBMP活性を阻害すると考えられていたホスファターゼであるPPM1AとSCPIは、どちらも別の細胞内分子を脱リン酸化することで、BMPによる骨芽細胞分化を阻害することが明らかとなった。従って、BMPによる骨化を抑制する新しい方法として、Smad1/5のリン酸化阻害剤や、PPM1AやSCPの発現促進などが有効であると考えられた。
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Research Products
(34 results)