2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋組織の異所性骨化に基づく運動器の形成と再生機構の解明
Project/Area Number |
21390423
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 聡 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00547979)
笹沼 寛樹 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (30571707)
米山 克美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20571574)
進 正史 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (70549261)
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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Keywords | 分化 / 再生 / 細胞・組織 / 筋 / 骨組織 |
Research Abstract |
Bone Morphogenetic Protein(BMP)は、筋組織内で異所性骨化を誘導し、in vitroにおいて筋芽細胞の分化成熟を抑制しながら、代わりに骨芽細胞への分化を誘導する。このBMPの作用は、細胞膜に存在するBMP受容体によって活性化される転写因子Smadによって核内へと伝達されると考えられている。我々は、構成的活性型Smad1の過剰発現で、BMPの初期応答遺伝子Id1の発現や、筋芽細胞から骨芽細胞への分化を誘導できることを示した。これらの結果は、Smadを介したBMPシグナルが、細胞分化と増殖の両者を制御していることを示唆する。 そこで本研究では、Smad1の結合因子を探索した。FLAGタグを付加したSmad1をHEK293細胞に過剰発現させ、抗FLAG抗体を用いてSmad1結合分子を回収し、LC-MS/MS解析で分子を同定した。同定された分子の中に、BMPとの関連が報告されたことがないZnフィンガー型転写調節因子Zranb2が含まれていた。Zranb2はSmad5/8とも会合し、これらが誘導する初期応答遺伝子の転写や、骨芽細胞分化を抑制した。 この抑制作用には、Zranb2のSRドメインを介した核局在が重要であった。NF-kBのp65はSmadのDNA結合を阻害して生物活性を抑制したのに対し、Zranb2はSmadのDNA結合を抑制しなかった。Zranb2は、転写に必要な補助因子とSmadの会合等を阻害する事でBMP作用を抑制すると考えられる。本研究から、BMPの異所性骨誘導作用はSmadを介したものであり、それが細胞内の他の転写制御因子によって正または負に制御される機構が明らかになった。
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Research Products
(32 results)