2010 Fiscal Year Annual Research Report
加齢及び麻酔関連睡眠障害の機序とその治療に関する研究
Project/Area Number |
21390430
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
廣田 和美 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20238413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (80250603)
吉田 仁 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00374843)
大川 浩文 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40322953)
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Keywords | 睡眠障害 / 加齢 / ラット / 全身麻酔 / 神経生理活性物質 / 鎮静 / オピオイド |
Research Abstract |
研究1.ケタミンによる全身麻酔が睡眠に及ぼす影響を年齢ごとに検討ケタミン100mg/kgを腹腔内投与による麻酔後2、3日目にREM睡眠の頻度が有意に増加した。REM睡眠のピークは、成年ラットで麻酔後2日目、高齢ラットで麻酔後3日目で、各々51.3±16.5%、45.0±62.5%の増加であった。ピークが高齢になると1日遅れてきたが、REM睡眠が麻酔後に増えるという点では、同じであった。これに対しNon-REM睡眠は麻酔翌日で増加傾向を認めたが(成年ラットで8.3±2.1%、高齢ラットで8.6±62%増加)、統計的に有意な差ではなかった。このように、ケタミン麻酔後の睡眠障害に加齢は影響せず、成年も高齢も同様の変化であった。 研究2オレキシンAの脳室内投与がケタミン麻酔後の睡眠に及ぼす影響成年と高齢でケタミン麻酔後の睡眠障害に差を認めないので、成年ラットを用いてのみ、オレキシンAの脳室内投与がケタミン麻酔後の睡眠に及ぼす影響を検討した。オレキシンA1.0nmolを脳室内投与することで、ケタミン麻酔後のREM睡眠、Non-REM睡眠の変化はほぼなくなり、麻酔前の睡眠と同様であった。具体的には、REM睡眠では、生食投与群では、ケタミン麻酔後に37.3±35%増加したのに対しオレキシンA投与群では7.2±10.5%しか増加せず両群間で有意さを認めた。Non-REM睡眠に関しても、生食群では6.8±3.5%増加したが、オレキシンA投与群では1.4±2.9%の増加にとどまった。どちらの睡眠に関しても、オレキシンAはケタミン麻酔後の変化を約80%軽減したことになる。
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