2010 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外時間分解分光システムを用いた周術期脳障害モニタリング法の開発
Project/Area Number |
21390435
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
垣花 泰之 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20264426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 明 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70284883)
安田 智嗣 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80437954)
今林 徹 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90404491)
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Keywords | 近赤外時間分解分光システム / 脳障害モニタリング / チトクロームオキシダーゼ / ヘモグロビン酸素飽和度 |
Research Abstract |
今回の研究の目的は、近年開発されたピコ秒パルス光による近赤外時間分光法(TRS)を用いて、心臓血管術後合併症のなかで重症な課題である脳障害の発生を早期に検出できるモニタリング法を確立し、それを基に理想的な周術期脳管理法の構築を目指すものである。「研究実施計画」昨年度(H21年度)のin vivo、in vitroの実験の結果より、現有装置TRSの3波長(760nm, 800nm, 830nm)では、ヘモグロビンの吸光係数が近似しているため、正確なcyt.ox測定が困難であることが判明した。そのため、本年度(H22年度)は、まず6波長(690, 730, 760, 780, 800, 830nm)の同時測定が可能なTRS装置を浜松ホトニクス株式会社と共同で開発し、その装置を用いて、cyt.ox絶対値測定に適した波長の決定と、新アルゴリズムを作成した。具体的には、まず、新たな6波長TRS装置を用いて、散乱物質として脂肪製剤のイントラリピッドを含んだ溶液中に、十分に酸素化した赤血球を順次追加していき、酸素化型ヘモグロビンの吸光係数(装置定数を含む)をもとめる実験を行った。次にNa2S2O4を添加し完全脱酸素化状態の赤血球を追加していき、脱酸素化型ヘモグロビンの吸光係数(装置定数を含む)を各波長ごとにもとめた。その実験の中で690nmの波長は、ヘモグロビンの吸収変化が大きくcyt.ox測定用には適さないことが判明した。残りの波長(730, 760, 780, 800, 830nm)に関して、以前の研究結果から、770nmより短波長側では、Hbの吸収変化が、それより長波長側ではHbとcyt.oxの両方の吸収変化が影響することが分かっているため、730, 760nmの2波長で酸素化型・脱酸素化型Hbの濃度を、残りの1波長(780, 800, 830nmのうち一つ)を用いてHbとcyt.oxの変化を算出し、その差からcyt.oxの濃度変化をもとめるcyt.ox測定用の新たなアルゴリズムを作成することに成功した。次年度は、cyt.ox絶対値測定用アルゴリズムの正当性を、in vivo実験モデル(ブタの心停止モデル)用いて評価する予定である。
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