2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境と臓器特異的転移に着目した腎細胞癌の発がん・進展のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21390445
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00213885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20338180)
中川 健 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50227740)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245572)
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10286552)
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Keywords | 腎細胞癌 / 分子標的治療 / 上皮-間葉転換 / Snail |
Research Abstract |
分子標的治療が標準治療となった現在、臨床の場での課題は薬剤の効果が持続せず耐性となることがあげられる。上皮-間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition:EMT)は、がん細胞の転移能や抗がん剤耐性機構に関与しているため、耐性がん細胞の問題をEMTという側面から解析することを試みた。腎細胞癌97例を用いてEMTの指標であるE-cadherin発現を抑制する転写因子Snailの発現を免疫組織学的に調べた。その結果、Snail発現は原発巣の進展度、組織学的異型度および肉腫様腎細胞癌の合併の有無と相関していた。Snail高発現例は低発現例に比べ、再発率および死亡率が高い傾向がみられた。 Snail発現と癌細胞の浸潤・転移能の関係を調べるため、腎細胞癌由来の細胞株786-O,ACHNにおけるSnail発現をsmall interfering RNA(siRNA)を用いて抑制し、E-cadherinおよび細胞外マトリックス分解酵素であるmatrix Metalloproteinase(MMP)-2,MMP-9発現を定量PCR法およびイムノブロット法により測定した。その結果、siRNAによりSnail発現を抑制するとE-cadherin発現が上昇するとともに、MMP-2とMMP-9の発現が低下し、in vitroでの癌細胞の遊走能、浸潤能が低下した。分子標的薬治療後の組織を観察するとEMTが亢進していると考えられる異型性の顕著な肉腫様癌細胞が残存している。このことから治療耐性にEMTが関与していることを示唆された。より悪性度の高い癌組織での発現あるいは肉腫様腎細胞癌でのSnailの発現の亢進はSnailが分子標的薬の耐性に関連することを示唆する。
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Research Products
(3 results)