2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性婦人科がんに対する腫瘍融解ウイルス治療法の開発
Project/Area Number |
21390450
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 正樹 金沢大学, 医学系, 教授 (10127186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京 哲 金沢大学, 医学系, 講授 (50272969)
高倉 正博 金沢大学, 附属病院, 助教 (20313661)
中村 充宏 金沢大学, 附属病院, 助教 (50377397)
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Keywords | 婦人科癌 / 卵巣癌 / 腫瘍融解ウイルス / テロメラーゼ / 先進医療 / 遺伝子治療 / 末梢血循環腫瘍細胞 / circulating tumor cells |
Research Abstract |
これまでの研究で卵巣癌腹膜播種モデルにおいてテロメラーゼ依存性腫瘍溶解ウイルスの有効性を示してきた.本年度では進行性の卵巣癌や抗がん剤抵抗性の卵巣癌や進行性の消化器癌に有効性が見られ臓器特異性が低いことが示された。特に抗がん剤抵抗性の源となっている癌幹細胞に有効であるかを昨年と継続的に検討した。 その結果、卵巣癌細胞株SKOV3をFACSにより選別したところ、表面抗原CD117/CD44陽性分画が高い増殖能を示し癌幹細胞であると推定できることから、これらの細胞におけるcisplatinとテロメラーゼ依存性腫瘍溶解ウイルスの同時併用効果をin vitroで検討した。cisplatin抵抗性の株化癌細胞に抗腫瘍効果が見られた。これはシスプラチンに抵抗性を示す難治性癌に融解ウイルスが臨床的有効性を示唆する結果であった。 次年度では、本年度の結果を踏まえて、テロメラーゼ依存性腫瘍融解ウイルスの胆癌動物での治療効果に加えて癌の診断の臨床応用を検討する。さらに、テロメラーゼ融解ウイルスにGFP蛋白を発現させ、少数存在する血液中のCTC (circulating tumor cells)の検出法を開発する。株化癌細胞を用いた基礎的検討では有効性が示唆されている。本法ではhTERTプロモータの活性化された細胞のみが蛍光を発し、極めて特異性が高い。癌患者の臨床検体(血液)に存在するCTCを本法で検出し、実際の臨床現場で治療効果や癌の進展程度、さらには検診などに臨床応用できないか検討予定である。本法では非侵襲性であり、将来の医療に福音を与えると考える。
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