2009 Fiscal Year Annual Research Report
成人病胎児期起源仮説の実験的検証とその臨床応用に関する総合的研究
Project/Area Number |
21390451
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐川 典正 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263005)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
神元 有紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90422865)
村林 奈緒 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (10378416)
溝口 明 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90181916)
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Keywords | 胎生期低栄養 / 胎児プログラミング / 生活習慣病 / 高血圧 / 糖代謝異常 / アディポカイン / マクロファージ / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
胎児期や小児期の栄養・発育環境と生活習慣病および精神・神経系疾患発症の関連を解析する目的で、本年度は以下の実験を行った。 1.胎生期低栄養に起因する成長後の高血圧発症に対する分枝鎖アミノ酸補充の影響 マウスの妊娠10日目から母獣の摂餌量を対照群の70%に制限した摂餌制限群の仔は、出生後8週齢では血圧の有意な上昇は認めないが16週齢で収縮期圧が有意に上昇する。このモデルに妊娠中から母獣に分枝鎖アミノ酸を補充すると胎児肝臓でのIGF-1が増加し収縮期血圧上昇は有意に改善した。 2.胎生期の低栄養が成人期の高血圧及び心血管障害発症に及ぼす影響 上記低栄養マウスモデルの生後16週齢ではレニン-アンジオテンシン系が亢進している。そこで、8週齢から16週齢にかけて、皮下埋込みの浸透圧ポンプを用いangiotensin IIの1型受容体拮抗薬(カンデサルタン)を投与したところ、16週齢で血圧上昇は有意に改善し、心肥大と冠動脈周囲線維化が抑制された。 3.ヒト肥満妊娠におけるインスリン抵抗性機序の解析 施設内倫理委員会承認の下、帝王切開時に肥満妊婦(3例)と非肥満妊婦(4例)の皮下および内臓脂肪組織を採取し、脂肪細胞の大きさや脂肪組織中のマクロファージの浸潤の程度を測定し、脂肪組織における各種アディポカイン・ケモカイン遺伝子発現をreal time RT-PCR法により解析した。その結果、妊娠中には脂肪細胞の肥大化とM1マクロファージの浸潤の増加を介したTNFα、レジスチン発現の増加とアディポネクチン発現の低下が認められた。肥満妊娠ではそれら変化がさらに増強していた。 4.マウス肥満妊娠モデルにおけるインスリン抵抗性機序の解析 60%高脂肪食負荷による肥満妊娠マウスモデルでは、ヒトと同様のマクロファージの浸潤やTNFαなどadipokine発現が変化し、骨格筋のGLUT4遺伝子発現が低下していた。
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Research Products
(24 results)