2010 Fiscal Year Annual Research Report
成人病胎児期起源仮説の実験的検証とその臨床応用に関する総合的研究
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21390451
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐川 典正 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263005)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
神元 有紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90422865)
村林 奈緒 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10378416)
溝口 明 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90181916)
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Keywords | 妊娠 / 糖脂質代謝 / インスリン抵抗性 / 肥満 / アディポカイン / 耐糖能異常 / 胎児プログラミング / 成人病 |
Research Abstract |
[目的]高脂肪餌負荷肥満妊娠モデルマウスを用いて、肥満妊娠が母獣および胎仔の糖・脂質代謝さらには出生後の発育に及ぼす影響について検討した。 [方法]6週齢のC57BL/6Nマウスに高脂肪餌(HFD:60%脂肪)を4週間与え、有意な肥満と耐糖能低下を確認した後、交配、妊娠17日目に開腹、胎仔及び各種臓器及び血液を採取し、糖・脂質代謝のパラメーターを標準食群(NCD:10%脂肪)と比較した。 [結果] 1)HFD母獣では、NCD群に比し母獣の耐糖能低下、インスリン抵抗性(IR)の増大を認めた。 2)HFD母獣の血中遊離脂肪酸値とTNF-α値がNCD群に比し有意に高かった。 3)HFD群母獣において内臓脂肪組織のCD-68,MCP-1,CCR2,TNF-α各遺伝子発現の有意な増加が認められた。 4)胎仔・胎盤重量は両群間で差を認めなかったが、HFD群胎仔の血糖値および血清インスリン値はND群に比し有意に高値を示した。 5)HFD群胎仔の皮下脂肪細胞は有意に肥大化し、CD68,CCR2およびTNF-α遺伝子発現の有意な亢進を認めた。 6)HFD群胎仔の脂肪組織ではGLUT-4遺伝子発現の有意な低下を認めた。 7)HFD群新生仔は出生後NCD母獣に哺育させてもNCD群新生仔より有意に大きな体重増加を示した。 [結論]HFD母獣では、脂肪組織へのマクロファージ浸潤を介した慢性炎症様変化を来すことによりIRが増強する可能性が示唆された。またHFD群の胎仔でも、母獣と同様に皮下脂肪組織においてマクロファージ浸潤を認め、アディポカインの発現変化を介したGLUT-4発現の低下が生じ、IRが惹起される可能性が示唆された。さらに、HFD群胎仔は出生後に普通餌の親に哺育されてもより肥満したことから、肥満しやすい体質にプログラムされている可能性が示された。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Transgenic mice overproducing human thioredoxin-1, an antioxidative and anti-apoptotic protein, prevents diabetic embryopathy2010
Author(s)
Yuki Kamimoto, Takashi Sugiyama, Tomohisa Kihira, Lingyun Zhang, Nao Murabayashi, Takashi Umekawa, Kenji Nagao, Ning Ma, Nagayasu Toyoda, Junji Yodoi, Norimasa Sagawa
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Journal Title
Diabetologia
Volume: 53
Pages: 2046-2055
Peer Reviewed
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