2011 Fiscal Year Annual Research Report
角膜内皮および実質における再生医療実現のための基盤技術の確立
Project/Area Number |
21390465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 史郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80193027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 智彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80282557)
杉崎 顕史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40361480)
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Keywords | 角膜内皮 / 角膜実質 / 再生医療 |
Research Abstract |
平成23年度には、培養ヒト角膜内皮使用DSAEK手術マイクロケラトームで厚い角膜フラップを作成しその下の後方角膜実質を採取し培養ヒト角膜内皮を播種する方法、角膜内皮および実質前駆細胞を用いた手術を行い、1年以上にわたる術後の観察を行った。その結果、培養ヒト角膜内皮使用DSAEKでは、1年以上にわたって、角膜の透明性が維持され、角膜厚もほぼ正常範囲が維持された。またDiI標識角膜内皮細胞が維持されており、眼圧上昇などの合併症も認められなかった。これらの結果より、培養ヒト角膜内皮使用DSAEK手術は有効で安全な角膜内皮移植術である事が示された。さらに、平成23年度には、無血清・無フィーダー培養下において高付着能を有する角膜上皮細胞シートを剥離できる新規温度応答性培養皿を開発し評価した。ヒト研究輸入角膜により角膜輪部細胞を採取しコラゲナーゼ添加無血清培地で組織融解後、酵素処理にて角膜輪部上皮細胞を分散した。セルシード社製温度応答性培養皿UpCellおよび新開発の新規温度応答性培養皿に角膜輪部上皮細胞を播種し無血清培地(DMEM/F12,B27,EGF20ng/ml,KGF20ng/ml)で三週間培養した後、氷上で低温処理を5分行い、細胞シートの剥離を試み評価した。その結果、新規温度応答性培養皿では角膜上皮シートに含まれる高付着能部位を含めて剥離することが可能であり、一枚の角膜上皮シートとして剥離することが可能であった。さらに23年度にアスコルビン酸-2リン酸(Asc-2P)を用いた新たなヒト角膜内皮細胞培養法を検討した。その結果、Asc-2Pを用いて培養した培養ヒト角膜内皮細胞は、高い細胞増殖能と継代安定性を有し、組織角膜内皮細胞と類似の形態を示した。Asc-2Pは細胞内の酸化ストレスを減少させることにより細胞寿命の延長に寄与している事がわかった。
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