2009 Fiscal Year Annual Research Report
正常眼圧緑内障の病態解明と神経保護・再生療法の開発
Project/Area Number |
21390470
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 高幸 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90345306)
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Keywords | 網膜 / 緑内障 / 神経保護 / 軸索再生 |
Research Abstract |
我が国における最大の失明原因は緑内障であるが、全体の約7割を「正常眼圧緑内障」が占める。眼圧上昇以外の緑内障の病因としてグルタミン酸毒性の関与が指摘されていることから、我々はグルタミン酸輸送体を活性化する手法を検討してきた。その結果Interleulin-1(IL-1)が網膜のMullerグリアに発現するグルタミン酸輸送体GLASTを賦活化し、発現量の増加を伴わずにグルタミン酸の取り込みを促進することを発見した。さらにIL-1を正常眼圧緑内障のモデル動物であるEAAC1ノックアウトマウス(J Clin Invest,2007)に投与したところ、網膜神経節細胞に対する保護効果が確認された(Neurosci Lett,2009)。以上からグルタミン酸輸送体機能の賦活化が、緑内障の予防・治療に有用な可能性が示された。 一方、緑内障においては視神経の軸索変性が問題となっている。この点に関して我々は、新しいタイプのグアニンヌクレオチド交換因子であるDock3と呼ばれる分子が、視神経の軸索伸長を促進することを見出した。Dock3は神経栄養因子BDNFの下流でFynおよびWiskott-Aldrich syndrome protein family verprolin-homologous protein(WAVE)と複合体を形成し、細胞膜上でRac1を活性化するだけでなく、細胞膜近傍にWAVEを供給することで、効率良く軸索伸長を促進する可能性がある。さらに最近完成したDock3過剰発現マウスでは、正常マウスと比較して、視神経損傷後の軸索再生が著明に亢進することがわかった(Proc Natl Acad Sci USA, in press)。今後はDock3の遺伝子治療等によって緑内障に対する再生療法が可能かどうか、さらに検討を進める予定である。
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Research Products
(9 results)