2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390479
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平野 明喜 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90208835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 定伯 長崎大学, 大学病院, 助教 (90315250)
吉本 浩 長崎大学, 大学病院, 助教 (90513309)
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 頭蓋顔面内組織 / 放射線障害 / 組織量解析 / 移植 / 再生 |
Research Abstract |
ヒト間葉系幹細胞には多くの"間葉系"組織に存在するとされるものの、現行広く用いられるものとして、骨髄由来間葉系幹細胞(採取量が限定しており、ほとんどの場合培養を必要とする)、あるいは一般に体幹に多く存在し、大量の採取分離が可能な脂肪由来間葉系幹細胞がある。本年度は、特に脂肪由来(間葉系)幹細胞を臨床的に採取し、その細胞を用いて、難治性慢性放射線障害部位の皮膚軟部組織の再生治療と全身性に分布する脂肪萎縮の再生を目的として自家脂肪組織由来幹細胞による臨床効果とin vitroでの細胞増殖性、細胞分化能を検討した。年齢は30歳~89歳(平均58.1歳)、採取幹細胞数は0.05~5.3×10^7/5ml(平均2.2×10^7/5ml)であった。慢性放射線障害における再生では再生治療後80日で完全に、骨、靱帯、筋肉、皮膚などの再生を認め、脂肪萎縮への再生治療では術後6ヶ月までの経過観察で移植脂肪の生着を認め臨床的な萎縮状態の改善のみならず、容量3次元CTを用いた脂肪容量解析にて経時的な組織量の増加を認めている。in vitroにおける脂肪由来幹細胞の増殖状態では高齢者(最高齢89歳)であっても高い増殖性とコロニー形成率(30%以上)となった。更に樹立した脂肪幹細胞株の分化能はリアルタイム解析にて全例で97%以上の脂肪組織発現マーカーが陽性であった。頭蓋顔面領域の頬部への萎縮部位の再生後の脂肪は容量解析にて術後3ヶ月までに術前のほぼ5倍まで増量した。 またミニブタを用いた急性放射線障害モデルとして放射線照射後(10Gy)の細胞増殖因子の直後からの連続投与による皮膚軟部組織の防護効果ついては、機械的な伸展組織に対して表皮基底細胞の細胞増殖と真皮血管数の増加、アポトーシスの減少などを認めており、更に幹細胞移植の場合にはより効果的であると示唆された。
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