2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390480
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂井 靖夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50272315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (30136791)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
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Keywords | レチノイン酸 / 皮膚発生 / 毛発生 / 創傷治愈 / CYP26B1 |
Research Abstract |
ビタミンAの誘導体であるレチノイン酸(Retinoic Acid ; RA)は、細胞の分化、成長、器官形成など様々な局面で重要な役割をしている。皮膚もRAの標的組織の一つであり、尋常性乾癬や重度の膿胞性ざ瘡の治療に使用されている。研究代表者はRA不活化酵素であるcytochrome P450-26(CYP26)に注目して、マウス胚を用いた形態形成を研究してきた。中でもCyp26b1ノックアウト(KO)マウスの皮膚には毛包形成不全、表皮・真皮細胞の形態および層構造異常など、正常に比して顕著な相違がみられた。本研究は、Cyp26b1-KOマウスをモデルとして用い、皮膚発生におけるRAの標的遺伝子とその役割を探索することを目的として行った。 Cyp26b1-KO表皮の解析では、真皮に発現するCyp26b1を特異的に欠損させるためEn1-Cre、Prx1-Cre、Hoxb6-Creによるconditional-KOマウスを順次作成した。得られたCyp26b1 conditional-KO皮膚は、予想に反し表皮構造は正常に近い表現型であり、Cyp26b1の発現部位を再考した。その結果Cyp26b1は表皮でも発現していることを見出した。また、Cyp26b1 conditional-KO皮膚には毛包が存在するが、毛流が一定でないことからRAが毛の極性に関与していることも示唆された。 本研究では、皮膚発生におけるRAの役割を探索してきたが、表皮においてはバリア機能、真皮においては毛包誘導能に重要であると結論した。また、RAは表皮と真皮に独立した調整機構が存在するも、表皮-真皮間の相互作用にも大きく関与していることが示された。
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Research Products
(10 results)