2009 Fiscal Year Annual Research Report
急性期重症患者擬似モデルにおける高血糖惹起性腸内細菌動態と対応策
Project/Area Number |
21390484
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 Keio University, 医学部, 准教授 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 公明 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30265847)
矢島 聡 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10348766)
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Keywords | 敗血症 / 高血糖 / 腸内細菌 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究計画の初年度となる21年度は、低用量内毒素持続静注による病的モデルで高血糖および正常血糖レベルを安定して維持できる重症患者擬似モデルを作成することに主眼を置いた。一方で、大規模無作為臨床試験によりインスリン強化療法による厳重な血糖制御は低血糖の危険性を高め、予後を悪化するとの報告(N Engl J Med 2009;360:1283)以降、厳重な血糖制御による副作用が注目を集めつつある。これは本研究遂行の背景や仮説、あるいは期待される結果と意義には影響ないものの、インスリン投与による厳格血糖制御の長時間モデル作成前に、まず「内毒素血症ラットモデルにおいて、どのレベルの高血糖が腸管壁防御機構の破綻をきたすか明らかにすること」を当研究室が確立した高心拍出量内毒素血症および健常ラット高血糖モデル(Crit Care Med 2009;37:1024)で検証した。蛍光色素標識デキストラン(FD4)注入法(Anesth Analg 2005;101:26)により、腸管壁破綻は健常状態では400mg/dl以上の高血糖で破綻、病的状態では250mg/dl程度で内毒素による腸管壁透過性の破綻を明らかに増悪するという結果を得た(平成22年度米国麻酔科学会で発表予定)。同時に、動脈血および門脈血より採血を実施しているため、TNFα、IL-1β、HMGB-1等を標本数が整った段階で測定する。また今年度は、大腸菌など代表的腸内細菌に対する定性的PCR法を当研究室で確立した。21年度の予備研究ならびに研究手段の確立を基に、22年度は確定した腸管粘膜破綻をきたす高血糖レベルと炎症性マーカーならびに腸内細菌叢の変化を評価すると共に、病的状態におけるプロバイオティクスによる腸内細菌制御に向けた予備実験を行う。
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