2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性期重症患者擬似モデルにおける高血糖惹起性腸内細菌動態と対応策
Project/Area Number |
21390484
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 公明 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30265847)
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Keywords | 敗血症 / 高血糖 / 腸管関連リンパ組織 / 炎症性サイトカイン / Th1 / Th2 / Th17 / regulatory T cell |
Research Abstract |
当研究室では、これまで短時間及び長時間持続する高血糖が敗血症における腸管壁防御機構を破綻させる増悪因子であることを報告してきた。特に短時間高血糖は内毒素血症ラットの腸管壁透過性を一層亢進させ(平成22年米国麻酔学会で発表)、さらに200-300mg/dlの臨床的に遭遇する高血糖レベルでも長時間持続した場合、腸管関連リンパ組織(gut-associated lymphoid tissue,GALT)の一つである腸間膜リンパ節において、炎症性サイトカイン発現を亢進させることを見出した(平成23年米国麻酔学会で発表)。この結果は、高血糖が腸間膜リンパ節を中心とするGALTで炎症反応を賦活化する増悪因子であることを示唆している。敗血症後期には、リンパ球を中心とした免疫担当細胞異常から免疫不全状態へと移行することが指摘されている。以上を背景に、本年度は内毒素血症下における長時間高血糖モデルでの腸管リンパ球サブセットへの修飾を探求することを目的に、GALTにおけるリンパ球の挙動を転写因子の発現解析から同定した。その結果、腸間膜リンパ節においては、Th1細胞転写因子であるTbx21及びTh17のRorcは、内毒素血症ならびに高血糖負荷に関わらず、有意な変化を認めない一方、Th2細胞の転写因子Gata3及びregulatory T(Treg)細胞のFoxp3は高血糖の長時間単独負荷で有意な発現の増加を認めた。GALTは生体免疫機構の中でも重要な位置を占めており、本年度の研究実績は"高血糖が長時間持続すると内毒素刺激より、Th2ならびにTreg細胞を主とする腸管免疫機構に大きな影響を及ぼすことを示している。重症患者ではインスリン抵抗性の獲得に加え高血糖に傾くため、その制御が生体免疫機構の維持に重要であることを明らかにした点で意義があると考えている。
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Research Products
(1 results)