2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞・骨細管系による骨基質ミネラル維持機構の解明
Project/Area Number |
21390488
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 憲生 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30242431)
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Keywords | 解剖学 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 歯学 / 骨 |
Research Abstract |
申請者らは、klotho欠損マウスは血中カルシウム・リン濃度が上昇しているにもかかわらず、骨基質石灰化が局所的に欠落していることを報告してきた(Sasaki, Amizuka et al.,米国骨代謝学会、2011年)。その原因として、リン酸カルシウム結晶と結合するdentin matrix protein-1やosteocalcinが産生されていること、さらには、石灰化抑制に作用するmatrix Gla proteinが骨細胞から過剰産生されていることを見いだした(Sasaki, Amizuka論文投稿中)。このことから、骨細胞は有機性成分を介した骨基質の石灰化を積極的に行っていることを強く示唆していると推測される。しかし一方で、骨細胞・骨細管系がリン酸やカルシウムといった骨基質ミネラルの沈着・脱灰を直接行うか否かについて、解析する必要性があると判断した。過去の報告からBelangerは骨細胞性骨溶解を報告しており、血清カルシウムを上昇させる副甲状腺ホルモン(PTH)により、骨細胞は周囲の骨基質を溶解するという。そこで、申請者はマウスにPTHを投与したところ、規則的に配列し機能的に効率が高いと思われる皮質骨の骨細管系において、骨小腔の拡大と基質ミネラルの脱灰、液胞型プロトンポンプ、酸性フォスファターゼを確認したが、骨梁など不規則な骨細胞系の骨小腔では、そのような基質溶解を確認できなかった。また、腎動静脈を結紮してPTH投与3時間後の血中カルシウムを測定したところ、有意なカルシウム上昇が認められた。さらに、その後、カルセイン投与を行うと、今度は、骨小腔周囲にカルセイン標識が認められたことから、骨細胞は周囲基質を溶解したり、沈着する可能性が強く示唆された。以上から、骨細胞・骨細管系は積極的に基質ミネラルの調節をしていると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] The distribution of osteocytic lacunar-canalicular system, and immunolocalization of FGF23 and sclerostin in osteocytes2012
Author(s)
Amizuka N., Hongo H., Sasaki M., Hasegawa T., Suzuki R., Tabata C., Ubaidus S., Masuki H., Guo Y., Freitas PHL., Oda K., Li M
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Journal Title
J Oral Biosci
Volume: 54
Pages: 37-42
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