2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞を用いた骨破壊制御:組織幹細胞特異的表面マーカーの開発とその応用
Project/Area Number |
21390492
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 敏夫 Kyushu University, 歯学研究院, 教授 (70150464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 表面マーカー / モノクローナル抗体 / 細胞分化 / 骨髄 |
Research Abstract |
骨髄に「間葉系幹細胞(MSC)」が存在することが証明され、骨折治癒過程で血腫形成に引き続く軟骨様カルスの形成、そして断裂部位の骨形成による完全治癒は、MSCから分化誘導された軟骨細胞と骨芽細胞によるものであることが分かってきた。骨髄の中には上記幹細胞以外の幹細胞も存在することが報告されており、再生医療において極めて有用な幹細胞ソースとして注目されている。MSCは軟骨細胞や骨芽細胞の他に、脂肪細胞や結合組織ストローマ細胞等にも分化する。組織再生を目的として、MSCを生体内に投与する研究がなされてきたが、比較的最近になって、MSCが強力な免疫抑制能を有することが見出された。特にT細胞を介した免疫反応が抑制される。また、MSCには炎症性の組織破壊を伴う部位に選択的に浸潤するという不思議な性質を持つことが知られており、炎症部位に浸潤したMSCが過剰な免疫反応を局所的に沈静化するとともに、その部位の組織再建を促す可能性を示唆する所見が集積されつつある。そこで本研究では最初にMSCMSCが関節炎にも治療効果を示すことが最近報告された(Augello A. et al Arthritis Rheum 2007)。ところで慢性関節リウマチに伴い激しい骨破壊が起こるが、それにはT細胞の活性化が関与することが知られている。Augello等はMSCをマウスに移植することによってコラーゲン誘導関節炎を顕著に抑制できることを示しているが、骨破壊制御に関する知見は少ない。最初の試みとして研究代表者らはGFPマウス骨髄からのMSCの分離を試みたが、MSCを効率良く増殖させることができなかった。並行して行っていたラットの骨髄MSCの分離が成功したので、ラットMSCをマウスに免疫し、MSC特異的に反応するもモノクローナル抗体の作出を試みた。多数のハイブリドーマが得られた、現在、その培養上清(モノクローナル抗体を含む)を種々の方法を用いてスクリーニング中である。一方、ラットMSCの免疫抑制能について検討する為に、アジュバント関節炎ラットにMSCを投与したところ、関節炎に伴う骨破壊の抑制が認められた。現在、組織学的な解析を進めているところである。MSC特異的マーカーの開発とMSCを用いた炎症性骨破壊の制御、という両面からのアプローチにより重要な知見が得られるものと思われる。
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Research Products
(3 results)