2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞を用いた骨破壊制御:組織幹細胞特異的表面マーカーの開発とその応用
Project/Area Number |
21390492
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70150464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 膜表面抗原 / 病的骨吸収 / モノクローナル抗体 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
本研究では骨髄間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell, MSC)を骨髄から分離し、炎症性骨破壊を伴う関節炎マウスに純化したMSCを投与し、骨破壊制御を行なうことをひとつの目的としている。そして、そのメカニズムを解明し、MSCによる効果的な炎症性骨破壊制御を実現することが本研究の究極の目的である。今年度は炎症性骨破壊を伴うAdjuvant Arthritisラット(AAラット)の系に、ラット骨髄細胞より分離したMSCを投与し、炎症および骨破壊に対する影響を検討した。具体的には、ラット骨髄細胞よりbasic FGF存在下MSCを分離培養し、投与実験に用いた。ラット尾根部に結核死菌を含むCFA (Complete Freund Adjuvant)を皮内注射することによりAAラットを作製した。MSCは腹腔内に投与した。1週から4週にかけてラットの前肢及び後肢の関節炎スコア、後肢の腫脹体積、体重について測定を行い、屠殺後はソフテックス及びマイクロCTによるエックス線学的解析と、組織学的解析を行った。MSC投与群で腫脹体積に関しては有意差は認められなかったものの、関節炎スコア、体重の減少はCFA投与群と比べ有意に抑制された。エックス線学解析によりMSC投与群が有意に骨破壊を抑制することがわかった。組織学的解析によるとCFA投与群においては著しい骨破壊像、滑膜の肥厚、多数の炎症性細胞の浸潤が認められ、関節腔の形状が大きく変化していたのに対して、MSC投与群においては炎症及び骨破壊はいずれも低レベルであり、関節腔の形状も正常であった。脛骨遠位端及び距骨における破骨細胞の局在を解析したところ、CFA投与群では破骨細胞が骨髄内に広範囲にわたって多数観察されたのに対し、MSC投与群では破骨細胞の形成が抑制されることが分った。MSCによる炎症性骨破壊の制御が可能になるものと思われる。
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Research Products
(2 results)