2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390493
|
Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
古江 美保 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究リーダー (80257310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 有弘 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究員 (20392300)
川端 健二 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (50356234)
|
Keywords | 幹細胞 / 再生 / 発生 / 分化 / 細胞工学 / iPS細胞 |
Research Abstract |
これまでに、単層無血清培養法を用いたマウスES細胞から神経堤細胞への分化誘導法を確立した。この方法を改良しヒト多能性幹細胞に適用させるために、国際ヒトES細胞イニシャティブプロジェクトによる標準化プロトコールに従い、ヒトES・iPS細胞について解析を行ったところ、ヒトES細胞H9、ヒトiPS細胞Ticを、神経堤誘導研究に用いる細胞株として選択した。22年度は、近年、ヒトES・iPS細胞と並び再生医療のソースとして注目されている間葉系幹細胞(MSC)についても神経堤誘導研究に用いる細胞株として検討した。MSCは、従来ウシ胎児血清を用いた培養法が主流であり、さらに、未分化マーカーが依然はっきりと同定されていない。そこで、ヒト間葉系幹細胞の未分化を維持した比較的均一な細胞集団を得る無血清培養法を確立した。当該研究所のJCRB細胞バンクが所有しているヒト間葉系幹細胞のうち、遺伝子導入により不死化されており、高い増殖能を示したUE7T-13細胞を選択した。これまでに独自開発したヒトES細胞培養用無血清培地hESF9を用い、間葉系幹細胞の増殖に必要な因子を同定したところ、TGF-β1をFGF-2やヘパリンと共に添加するとUE7T-13細胞の増殖が促進されることを明らかにした。決定した培養条件で培養したUE7T-13細胞は、従来の血清添加培地で培養した細胞と同等の増殖能を有し、骨分化能や脂肪分化能を維持していることを確認した。また細胞表面抗原解析や遺伝子発現解析にて評価したところ、間葉系幹細胞特異的な細胞表面抗原やマーカー遺伝子の表現型を示しており、ES細胞未分化マーカー遺伝子および表面抗原の発現も認めた。以上の研究成果より、ヒト間葉系幹細胞UE7T-13を選択し、安定して未分化に維持培養できる実験系を確立し、さらに、次年度より神経堤誘導に応用する。また、ヒトES・iPS細胞からエピブラストへの分化誘導を行い、さらに胚体内胚葉の細胞に分化させることができた。次年度は、選択したH9細胞、Tic細胞およびUE7T-13細胞を用いて、神経堤細胞や内胚葉への分化誘導実験を行い、歯や顎骨への誘導を目指す。
|
Research Products
(10 results)