2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病の新規治療標的分子の探索とヒト型抗体療法IT創薬開発のゲノム科学応用研究
Project/Area Number |
21390497
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
|
Keywords | 歯周病 / P.gingivalis / ゲノムプロジェクト / TDC60株 / マイクロアレイ / ヘミン結合タンパク質 / マイナー線毛 / 抗体 |
Research Abstract |
主要な歯周病原菌Porphyromonas gingivalisを標的として、当研究室で構築したゲノムデータベースを基盤に、歯周病の効果的な新規治療標的分子を探索し、その標的分子に対して、臨床で実用化可能な安全性の高いヒト型中和抗体の作製と歯科界では初といえるIT創薬の開発を試みることを目的としてスタートした。また、研究成果を網羅的有機的に利用できるようなdatabaseを構築し、歯科界の共通財産として公開することで歯周病撲滅のための研究推進に役立てるために、P.gingivalis TDC60(II型)ゲノムプロジェクトに取り組み、本年度終了し、NCBI databaseにて公開した。この結果をもとに、ATCC33277(I型)、W83(IV型)の各遺伝子の相同性を比較し、TDC60(II型)特異発現標的分子の探索を行い、治療標的分子の遺伝子クローニングと組換えタンパクの量産を行った。TDC60株で特異に発現しているマイナー線毛Mfa1分子は、33277株では発現量の少ない分子であり、本分子が病原性、抗原性の高い分子である報告も多いことから、TDC60株に見られる病原性の起因の一つである可能性が示唆された。さらに、Mfa1は、他株でマイナーと呼ばれる分子であるにもかかわらず、TDC60株では多量に発現している分子であることが確認された。本研究の付加価値として、本大学院教育でゲノム科学基礎研究者として大学院生を参加させ、歯科医学の将来をになうゲノム科学専門研究者として育成することを目指しており、遺伝子発現解析技術、解析の研究拠点として機能を果たし、本校にとどまらず全国的に貢献した。 一方、共凝集因子として発見され、その後、ヘミン結合能をもつことが見いだされた40-kDa外膜タンパク質の酸化還元電位を測定した結果、-240mVという還元性の高い分子であり、他の分子を還元する能力をもつ可能性が示唆されたことから、P.gingivalisにおける本分子の機能は興味深い。立体構造情報をもとにDOCKシステムを利用してin silico screeningを行いリード化合物の探索を行なう準備としてヘム結合部位の候補の探索を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、TDC60株のゲノムプロジェクトが終了したことによって、P.gingivalisのゲノムには、相当数の組み替え、ゲノム内移動があることが明らかになった。この理由から、TDC60株のゲノムの解読は困難を極めた。 当初予定していた比較ゲノムに基づく「新規病原因子の探索」は来年度の課題となる点において、やや遅れていると言わざるを得ない。しかし、比較ゲノムとは別に、平行して行っている発現タンパク質の解析、治療を目指したリコンビナント抗体の作製については、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゲノム解読が終了したことから、作製したカスタムマイクロアレイを用いて、発揮される病原性の検討を行う。ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、抗体作製、ドラッグドックシステム、構造解析の他方面から、新規病原因子の探索/解析を行う。本菌株に特異的に発現している分子として、すでにゲノム解析の終了しているW83株、ATCC33277株と比較し、TDC60においてのみ存在する遺伝子、或は他株と比べた時に発現変動が大きい遺伝子について優先的にクローニングを行っている。さらに、候補分子のクローニングを行うと共に、TDC60で発現が増大しているマイナー線毛分子Mfa1、コラーゲン代謝に関わるDap2,aminoacyl-histidine dipeptidase(PepD-2)については大量精製を行い、立体構造を順次解明し、ゲノム創薬へ向けて進める。今後さらに、データーベースを充実させて有用な分子標的の探索を行う予定である。
|
Research Products
(28 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Complete genome sequence of the bacterium Porphyromonas gingivalis TDC60, which causes periodontal disease2011
Author(s)
Watanabe T, Maruyama F, Nozawa T, Aoki A, Okano S, Shibata Y, Oshima K, Kurokawa K, Hattori M, Nakagawa I, Abiko Y
-
Journal Title
J Bacteriol
Volume: 193
Pages: 4259-4260
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Journal Article] Adipocyte-macrophage interaction may mediate LPS-induced low-grade inflammation : Potential link with metabolic complications2011
Author(s)
Nakarai, H, Yamashita, A, Nagayasu, S, Iwashita, M, Kumamoto, S, Ohyama, H, Hata, M, Soga, Y, Kushiyama, A, Asano, T, Abiko, Y, Nishimura, F
-
Journal Title
Innate Immunity
Volume: 18
Pages: 164-170
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Lineage-Committed Osteoclast Precursors Circulate in Blood and Settle Down Into Bone2011
Author(s)
Muto, A, Mizoguchi, T, Udagawa, N., Ito, S, Kawahara, I, Abiko, Y, Arai, A., Harada, S., Kobayashi, Y., Nakamichi, Y, Penninger, JM, Noguchi, T, Takahashi, N.
-
Journal Title
Journal of Bone and Mineral Research
Volume: 26
Pages: 2978-2990
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] MMP-10/Stromelysin-2 Promotes Invasion of Head and Neck Cancer2011
Author(s)
Deraz, EM, Kudo, Y, Yoshida, M, Obayashi, M, Tsunematsu, T, Tani, H, Siriwardena, SBSM, Kiekhaee, MR, Qi, G, Iizuka, S, Ogawa, I, Campisi, G, Lo, ML, Abiko, Y, Kikuchi, A, Takata, T
-
Journal Title
PLOS ONE
Volume: 6
Pages: e25438
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-