2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内シリカコーティング法の開発とプラーク抑制シランの合成
Project/Area Number |
21390511
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
寺中 敏夫 Kanagawa Dental College, 歯学部, 教授 (60104460)
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Keywords | 歯学 / 材料加工・処理 / 表面・界面物性 / シリカコーティング / シランカップリング剤 |
Research Abstract |
7×7mm四方の研磨ウシエナメル質にペルヒドロポリシラザン(PHPS)を塗布し、3%過酸化水素水を滴下後、1分の炭酸ガスレーザー照射によりシリカ薄膜を生成することに成功した。このシリカ薄膜の超微小硬さは5,600MPaであり、ウシエナメル質の3,000MPaと比較し有意に硬いことが示された。一方、300℃で1時間焼成したシリカ薄膜の超微小押込み硬さは8,330MPaと極めて高く、成膜方法を改善することによりさらに硬い薄膜を得ることが可能であることも示唆された。 ウシエナメル質は10,000サイクルの歯ブラシ摩耗により平均2.33μmの摩耗量を示したのに対し、シリカ薄膜は平均0.17μmと10分の1以下の摩耗量で、明らかにウシエナメル質に比較して耐摩耗性に優れていることが示された。 これらの結果は想定をはるかに超えて優れていたため、現在、海外研究協力者のKarl-Heinz Kunzelmann教授(Ludwig-Maximilians大学、ミュンヘン大学)の研究室で追加研究を行っている。 本低温シリカコーティング法の応用として、室温において修復物あるいは補綴装置上にシリカ薄膜の生成が可能性を検討したところ、3%過酸化水素水に37℃で3日間浸漬するのみでPHPSからシリカ薄膜に転化出来た。PMMAをシリカ薄膜で被覆することにより義歯の吸水やプラークの付着を制御可能になり、高齢者の口腔をよりよい状態に維持できる可能性が示唆された。 以上の研究成果は日本歯科保存学会2009年度春季学術大会(第130回),日本歯科保存学会2009年度秋季学術大会、神奈川歯科大学学会第131回例会、および44^<th> Meeting of the IADR-Continental European division with the Scandinavian division and Israeli divisionにて報告し、現在論文を執筆中である。
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Research Products
(4 results)