2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯の喪失は認知症のリスクになるか-脳MRIデータベースの構築
Project/Area Number |
21390513
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 雅彦 東北大学, 病院, 教授 (60195211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下西 充 東北大学, 病院, 助教 (40302153)
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Keywords | 歯の喪失 / 歯周病 / 脳MRI / 認知症 / Fazekasスコア |
Research Abstract |
本研究は、これまでの「歯の喪失は痴呆のリスクになるか-MRIによる長期前向き研究」をさらに発展させ、歯の喪失が認知症のリスクになるか、そうならば他の要因と比較してどの程度のリスクか、いかなる発生機序によるのか、などの問題を明らかにするため、被験者を長期間追跡調査する前向き研究を行うものである。本研究では65歳以上の高齢者を対象に、数年おきに脳MRI検査を実施し、口腔内因子と脳MRIのデータベースを構築することにより、口腔内状況と脳の病態との関連を検討することを目的としている。 今年度は、脳MRI検査の間隔の設定において重要と考えられる口腔内状況の変化を検討するために、被験者の歯科受診状況ならびに治療内容を調査し、結果をデータベースに追加した。前回の脳MRI検査実施以降も継続して歯科受診歴が確認された被験者は72%であった。それ以外の被験者では歯科受診が中断している可能性が高かった。歯科受診歴が確認された被験者の治療内容の内訳は、補綴治療が61%、保存治療が72%であり、抜歯は7%と少なかった。したがって、歯の喪失が脳MRIに影響を及ぼすと仮定するならば、比較的長いスパンで脳MRI検査を実施する必要があることがわかった。 これまで、上顎歯数および上下顎合計歯数と大脳虚血性病変に関するFazekasスコアとの間に有意な負の相関が認められているが、歯周病関連の因子とFazekasスコアとの関係は見いだされていないので、高齢者の歯の喪失の原因として最も重要な歯周病の進行度を定量的に評価することも視野に入れて今後、検討を行う。
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