2010 Fiscal Year Annual Research Report
チタン・生体双方へのアプローチによるインターフェースの構築・維持に関する研究
Project/Area Number |
21390520
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
荻野 洋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (50380431)
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Keywords | インターフェース / インプラント / 骨 / 上皮 |
Research Abstract |
補綴をはじめ歯科領域では、治療の多くが「生体組織を除去し、代替物質で修復する」手法によるため、高分子材料や金属などの外来物質と生体との多種多様なインターフェースが存在する。なかでもインプラントー組織インターフェースは、歯科領域では比較的「新しい」インターフェースであり未解明な事象や、解決すべき問題点が多数存在する。 本研究は、口腔インプラントの生体とのインターフェースの結合強化を達成するために (1)生体からのアプローチ(組織の分化増殖促進を通してインターフェースを強化) (2)材料からのアプローチ(材料表面の組織親和性向上を通してインターフェースを強化) の双方向のアプローチを行い、よりよい口腔インプラント-生体インターフェース構築のためのデータを得ることを目的としている。平成22年度は、歯肉および骨-チタンインターフェース獲得に適した表面処理・表面性状の検討を行うために培養実験および動物実験を行った。その結果 <培養実験> 塩化カルシウム水熱処理を施したチタンにおいては、上皮細胞の接着能が向上することが明らかになった。また、同様に骨芽細胞の接着数や分化の程度についても促進的結果が得られた。 <動物実験> 塩化カルシウム水熱処理を施したチタンインプラントをラット顎骨に埋入し、歯肉上皮組織の反応を観察したところ、未処理群に比較して接着状態が向上することが示唆された。また、ラット脛骨に埋入した同処理チタンインプラントに対する骨接触率が有意に向上することが明らかになった。 以上のことより、塩化カルシウム処理を施したチタンは骨と歯肉両方に対して接着を促進することより、インプラント臨床に寄与できる可能性が示唆された。
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