2010 Fiscal Year Annual Research Report
チタンインプラントと生体界面微小領域でのバイオフィルム抑制能と組織適合性向上
Project/Area Number |
21390527
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 助教 (30327936)
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
五十嵐 武 昭和大学, 歯学部, 教授 (10159585)
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Keywords | チタン / インプラント / 抗菌 / 細胞 |
Research Abstract |
チタンに抗菌性を賦与することは,フィクスチャーとアバットメントを1度のオペで埋入する一回法を達成する上で重要であり、口腔との界面においては,軟組織や硬組織の治癒を同時に促進することが求められる.1Mの塩化ナトリウムおよびリン酸2水素ナトリウム電解液中で,チタンを陽極,ステンレスプレートを陰極とし,1アンペア・60秒で放電陽極酸化処理されたチタンの抗菌性と生体適合性を検討した.また大気加熱処理により,酸化膜を厚くしたチタン試料をコントロールに用いた.大気加熱チタンでは,ルチル型の酸化膜が検出されたのに対して,陽極酸化チタンでは非結晶のアナターゼ型酸化チタンがX線回折分析により検出された.塩化ナトリウム溶液中で処理した試料では,非結晶のアナターゼ型チタンに加えて三塩化チタンの結晶が見られた.大気加熱チタンでは表面濡れ性が向上したものの,抗菌性や生体適合性向上は見れらなかった.リン酸2水素ナトリウム溶液中で処理したチタンは表面でヒドロキシラジカルと親水基を発生し,骨芽細胞の石灰化マーカー遺伝子の上昇が見られたが,抗菌効果は見られなかった.塩化ナトリウム溶液中で処理したチタンは,表面の三塩化チタンが徐放する次亜塩素酸による抗菌効果と陽極酸化膜の細胞接着性タンパク吸着能から,優れた細胞接着性と分化能を期待できるということが明らかとなった.一方,陽極酸化チタンを高温で加熱し,ヒドロキシラジカルを除去した試料では,接着骨芽細胞の石灰化マーカー遺伝子が,非加熱の試料と同様に向上したものの,in vitroでの石灰化物形成が低下した.本研究から,陽極酸化チタン表面で発生する親水性官能基だけでなく,ヒドロキシラジカルが細胞の産生する骨基質タンパクの架橋反応に直接作用し,石灰化物の析出を上昇させる可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)