Research Abstract |
初年度では歯小嚢幹細胞の効率的な培養法を確立した。ブタの歯冠形成期歯胚から歯小嚢組織を容易に獲得することができ,かつ,この培養した歯小嚢細胞を頭蓋骨に移植すると骨形成を促進することがわかった(Connective Tissue Res)。一方で,臨床応用を視野に入れるとヒトの歯小嚢細胞の解析も必要であると考え,抜去歯より,歯小嚢組織を単離し,ヒト歯小嚢細胞を培養・増殖させた。歯小嚢組織は異種の細胞の集団であることは既知のことであり,マウスの歯小嚢組織には3種類の特性が異なる細胞が存在することが報告されていた。われわれは,ヒトの歯小嚢組織においても,培養下において,形態の異なる3種類の細胞が存在し,培養増殖できることを確認した。そして,これらの3種類の細胞は骨形成を促進することを明らかとした(投稿中)。また,骨芽細胞への分化誘導においてのBMPの効果も検討した(J.Cell Physiol)。 次に,象牙質塊の作製において,ヒト歯髄組織から歯髄幹細胞を間葉系幹細胞の表面抗原を用いてFACSにて単離した。この単離したヒト歯髄幹細胞が骨芽細胞および脂肪細胞に分化することを確認した。また,歯髄細胞の分化誘導にバクテリアの凍結破砕画分が歯髄細胞を硬組織形成細胞に分化させることを発見した(Oral Surg, Oral Med)。 現在は,象牙質塊の再生は歯髄幹細胞と担体を用いて行うが,その担体の選定を行っている。PLGAを主体として,ハイドロキシアパタイトを含有したものと含有しないもの,かつ,孔経の異なる4種類の担体を準備し,象牙質形成能を評価している。
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